上野敬三 (野球)

上野 敬三

上野 敬三（うえの けいぞう）は、1961年6月28日に和歌山県で生まれた、かつてプロ野球選手として内野手として活躍した人物である。

高校時代の輝き

上野は地元和歌山の箕島高校で遊撃手として野球に打ち込んだ。高校2年生だった1978年には、夏の全国高等学校野球選手権大会に出場。この大会の3回戦、強豪・中京高校（愛知）との試合では、本職ではないながら先発投手を務めるという経験もしている。試合は7回まで4対2とリードしていたものの、8回表に相手打線に逆転を許し、特に栗岡英智選手に痛恨の逆転3ラン本塁打を浴び、自身は敗戦投手となってしまった。

翌1979年、高校3年次には、箕島高校野球部の一員として、歴史にその名を刻むことになる。春の選抜高等学校野球大会、夏の全国高等学校野球選手権大会の両方に出場し、チームは快進撃を続けた。上野は不動の5番打者、そして遊撃手として、攻守にわたってチームを牽引。そして、公立高校としては史上初となる、春夏連続での甲子園優勝という偉業を成し遂げた。

この年の夏、特に語り継がれているのが、3回戦で対戦した石川県代表の星稜高校との一戦である。この試合は両チーム一歩も譲らず、延長戦に突入。決着がつかないまま延長18回まで進行するという、高校野球史に残る熱戦となった（通称「箕島対星稜延長18回」）。上野はこの試合でも重要な役割を果たし、4回裏にはヒットエンドランを成功させるなど、チームの得点機を演出した。そして、歴史的な一戦に終止符が打たれた延長18回裏、一死満塁の場面で打席に立った上野は、値千金のサヨナラタイムリーヒットを放ち、チームを勝利へと導いた。この劇的な勝利は、箕島高校の春夏連覇達成に向けた大きなターニングポイントとなっただけでなく、今なお高校野球の伝説として多くのファンに記憶されている。

プロ野球への挑戦と早期退団

高校卒業後の1979年秋、プロ野球ドラフト会議において、上野は読売ジャイアンツから4位指名を受け、念願のプロ入りを果たした。しかし、プロの世界は厳しかった。

ジャイアンツに入団し、期待を胸に臨んだ春季キャンプで、上野は腰痛という不運に見舞われてしまう。この怪我は選手生命に大きく影響し、満足なプレーができない状態が続いた。結果として、プロ入り後のシーズンにおいて、上野が一軍の公式戦に出場することは一度もなかった。

1981年には、シーズンが始まる前に任意引退選手扱いとなり、練習生としてチームに残ったが、同年オフにはジャイアンツを退団。プロ野球選手としてのキャリアは非常に短いものに終わった。

背番号

読売ジャイアンツに在籍した期間に使用した背番号は以下の通りである。

49 （1980年）
55 （1981年）

一軍での登板や出場機会はなかったものの、上野敬三は高校野球史における伝説的な試合での活躍を通じて、今もなお多くの野球ファンの記憶に残る存在である。

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関連項目

和歌山県出身の人物一覧
読売ジャイアンツの選手一覧

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