上野映画劇場

上野映画劇場の歴史

上野映画劇場は、第二次世界大戦後の1951年4月に三重県上野市で開館しました。創立者は角正太郎という経営者で、彼の個人経営のもとで運営されました。当時、この映画館の支配人は釘田哲夫でした。観客定員は最初280名で、松竹や新東宝、東宝といった映画会社との提携による興行が行われていました。

映画館の所在地は、近鉄伊賀線上野市駅の正面であり、大和街道に接する商店街「新天地」の中心にありました。この地域は上野城と公園が近くにあり、観光客や地元の人たちに親しまれる場所でした。開館当初は、すでに市内にいくつかの映画館が運営されていましたが、上野映画劇場は特にその立地から多くの来館者を魅了しました。

角正太郎は、1948年に滋賀県で別の映画館を経営していましたが、上野映画劇場は彼にとって2つ目の事業でした。その後、角正太郎は滋賀県内にもいくつかの映画館を開設しました。1954年には長男の角舎利が事業に加わり、1960年には角舎利が経営を引き継ぎました。このころから、同館の興行体系に新東宝が外れ、松竹と東宝の映画が中心となりました。

1965年には、経営者が角舎利に変わるとともに、支配人も釘田から角舎利に交代し、1970年には再び角正太郎が経営に戻ります。その後、支配人を通じて映画館は順調に運営されていきました。1970年代に入ると、映画館の興行系統は変化し、洋画にも力を入れるようになりましたが、成人映画の封切りも行われました。

1978年には、開館当初の木造建物が取り壊され、鉄筋コンクリート造の新天地映劇ビルへと改築されました。これにより、観客定員数は300名から103名に縮小しました。この新しいビルは、映画館としての機能を保持しながらも、現代的な施設に生まれ変わることができました。

1980年代を通じて、上野映画劇場は市内最後の映画館として多くの人々に愛され続けましたが、1990年に運営が終了し閉館しました。経営者の角正太郎が1987年に亡くなったことも影響し、最終的にこの映画館の幕を閉じることとなりました。

上野映画劇場の閉館後、同館があった新天地映劇ビルはその後も現存し、地域の遺産として思い出を留めています。また、2004年に上野市が合併し伊賀市となったことで、地域の歴史を振り返ることができる場所としても認識されるようになりました。映画を愛する多くの人々にとって、上野映画劇場の存在は大きな意味を持っており、当時の思い出が今もなお語り継がれています。

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