下仲順子

下仲順子：高齢者心理学をリードする第一人者

下仲順子氏は、1941年大阪府生まれの日本の心理学者です。関西学院大学文学部心理学専攻卒業後、同大学大学院文学研究科心理学専攻修士課程を修了しました。1986年には関西学院大学より文学博士号を取得、その論文テーマは「老年期の人格特徴の研究：自己概念を中心に、文章完成テストからのアプローチ」でした。臨床心理士としての資格も持ち、高齢者心理学、人格心理学、心理検査を専門として、日本の心理学界に大きく貢献しています。

輝かしい経歴と多岐にわたる研究活動

下仲氏のキャリアは、1966年の榎坂病院臨床心理室勤務から始まりました。その後、大阪府立公衆衛生研究研究所、東京都老人総合研究所と、研究機関を渡り歩きながら、高齢者の心理に関する知見を深めていきました。1987年には関西学院大学にて文学博士号を取得し、その後、2000年から文京学院大学教授、2009年には同大学人間学部学部長を務めるなど、教育者としても活躍されました。

下仲氏の研究は多岐に渡り、特に高齢者の心理に焦点を当てています。主な研究分野としては、以下の4つが挙げられます。

1. 創造性の加齢過程に関する研究:加齢に伴う創造性の変化とそのメカニズムについて、詳細な分析を行っています。年齢を重ねることで創造性が衰えるという一般的な通説に対し、新たな視点からの考察が期待されます。
2. 中高年期におけるライフイベントと精神的健康:人生における転機となる出来事(ライフイベント)が、中高年期の精神的健康にどのような影響を与えるのかを研究。人生の転換期におけるメンタルヘルスの維持・向上のための指針を示唆する成果が期待されます。
3. NEO-PI-R人格検査による高齢期の人格に関する研究:NEO-PI-Rという標準化された人格検査を用いて、高齢期における人格特性の変化を分析。年齢を重ねても変化し続ける人格のダイナミズムを解き明かす研究といえます。
4. 人格の５特性（Big Five）に関する異文化比較研究:世界的に知られる「ビッグファイブ」と呼ばれる人格特性モデルを用いて、異文化間における人格の比較研究を行っています。文化背景の違いが人格形成に与える影響を解明する、国際的な視野に立った重要な研究です。

著書と影響力

下仲氏は、その研究成果を分かりやすく一般向けに伝える努力も惜しみません。『老人の心理がわかる本』(2000年、河出書房新社)は、高齢者の心理を理解したい人々にとって必読書となっています。高齢化社会を迎える日本において、下仲氏の研究は、高齢者と社会の双方にとって非常に重要な意味を持ちます。

下仲順子氏の研究は、高齢者理解の促進、高齢者のより豊かな生活の実現に貢献しており、日本の心理学界におけるその功績は計り知れません。今後も高齢者心理学の分野において、先駆的な役割を果たし続けることが期待されます。

もう一度検索