下平尾蔀

下平尾 蔀（しもひらお しとみ）氏は、1944年8月5日に大阪府で生まれた日本の造園家であり、行政官としての長いキャリアを持つ人物です。現在は特定非営利活動法人ガーデンアイランド北海道の代表や、日本造園建設業協会の役員などを務めています。

学びの道では、1970年に北海道大学大学院農学研究科の修士課程を修了し、専門知識を深めました。

卒業後、官界に進み、1973年には建設省都市局公園緑地課の係長として、日本の公園緑地行政に関わることとなります。この経験が、その後のキャリアにおける緑地や景観に対する深い理解の基盤となりました。

1978年からは北海道開発局に移り、札幌開発建設部滝野公園の副長に就任。その後、1981年には同開発建設部の滝野すずらん丘陵公園工務課長を務めるなど、北海道を代表する広域公園の整備・管理に深く関わりました。これらの役職を通じて、大規模な公園の計画、設計、施工、維持管理といった実務経験を積み重ね、公園を単なる緑地としてではなく、地域社会の拠点や観光資源として捉える視点を養ったと考えられます。

北海道開発局では、公園緑地関連だけでなく、多岐にわたる分野でその手腕を発揮しました。1983年には道路計画課の開発専門官として道路行政に携わり、1987年には小樽開発建設部小樽道路副所長、1988年には札幌開発建設部札幌道路所長と、主要な道路関連のポストを歴任。広大な北海道における交通インフラ整備の重要性を認識し、その計画・実行に貢献しました。

さらに、1989年には小樽開発建設部次長、1991年には環境審査官として、開発事業と環境保全の調和という、当時の社会的な課題にも積極的に取り組みました。これは、造園家としての視点と行政官としての責任感が融合した役割と言えるでしょう。1994年には開発調整課長として、開発局全体の事業調整を担うなど、組織運営の中枢にも関与しました。

一時、中央省庁である農林水産省にも籍を置き、1993年に構造改善局建設部開発課の農道整備調査官を務めました。ここでは、農業基盤整備における道路の役割や、国土全体の構造改善といった広範な視点から業務に携わりました。

再び北海道開発局に戻り、1996年には稚内開発建設部長、1997年には帯広開発建設部長と、北海道内の重要な地域における開発建設行政のトップを歴任。それぞれの地域特性に応じた社会資本整備や地域振興にリーダーシップを発揮しました。また、公園緑地管理財団の滝野管理センター長なども務め、緑地管理の専門家としての側面も持ち合わせています。

これらの長年の公務員としての功績、特に公園緑地分野での貢献が認められ、第30回日本公園緑地協会北村賞を受賞しています。これは、日本の公園緑地分野において顕著な業績を挙げた個人に贈られる栄誉ある賞であり、下平尾氏のキャリアにおける重要な節目の一つと言えます。

公職を離れた後も、下平尾氏は特定非営利活動法人ガーデンアイランド北海道の代表として、北海道の豊かな自然や景観を活かした地域活性化、観光振興に取り組んでいます。また、日本造園建設業協会の役員としても、造園業界の発展や技術向上に貢献しており、長年培った知識と経験を社会に還元する活動を続けています。造園家、そして行政官として、北海道の地において緑と開発の調和を目指し、地域づくりに尽力してきた下平尾 蔰氏の功績は大きいと言えるでしょう。

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