下板倉村

下板倉村（しもいたくらむら）

かつて新潟県中頸城郡に存在した村、下板倉村（しもいたくらむら）について解説します。この村は短期間の存続でしたが、明治期から昭和期にかけての市町村合併・再編の歴史の中に位置づけられます。

発足

下板倉村は、明治22年（1889年）4月1日、市町村制が施行されたことに伴い誕生しました。これは、当時の内務省主導で進められた、全国的な地方自治体の統合・再編政策の一環として行われたものです。この時、中頸城郡に属していた複数の村々が合併し、新たな一つの行政区域として下板倉村が設置されました。具体的に合併の対象となったのは、広島村、下新田村、下箱井村、丸山新田村、五ケ所新田、岡原村、中箱井村、上箱井村、島田下新田村、島田村、島田上新田村、そして木島村の、合わせて12の村でした。これらの旧村域が統合され、下板倉村という新たな自治体として、その歴史の第一歩を踏み出しました。村役場が置かれ、近代的な地方行政の仕組みが導入されたのです。

他村との合併による廃止

下板倉村として独立した自治体であった期間は、さほど長くはありませんでした。明治34年（1901年）11月1日、新潟県内でさらなる広域的な村の合併が進められる中で、下板倉村は再びその行政区域を再編されることとなりました。この日、下板倉村は、同じ中頸城郡に属していた大和村、大倉村、そして国明村と合併しました。この4つの村が一つになることで、新たに中頸城郡和田村が誕生しました。この合併により、下板倉村は独立した自治体としての名称と役割を終え、和田村の一部となりました。約12年半の短い期間ではありましたが、下板倉村は明治初期の地方行政再編期における一つの事例として存在しました。

旧村域のその後の変遷

そして昭和30年（1955年）2月1日、大規模な昭和の大合併が進められる中で、和田村はその区域が分割され、周辺の市へと編入されることとなりました。この際、かつて下板倉村であった地域は、その全域が一つの市に編入されるのではなく、二つの市に分割されて編入されることになりました。旧下板倉村の区域のうち、特に大字広島として知られていた地域は、当時の中頸城郡新井町が市制を施行して誕生した新井市に編入されました。一方、旧下板倉村の区域の残りの部分、すなわち大字広島以外の地域は、別の市である高田市（現在の名称は上越市の一部）へと編入されました。これにより、かつて下板倉村を構成していた地域は、最終的に新井市と高田市という異なる自治体の一部となる形で、その行政区分が確定しました。現在、これらの地域はそれぞれ妙高市や上越市の一部となっています。

参考文献

『市町村名変遷辞典』東京堂出版、1990年。

関連項目

新潟県の廃止市町村一覧

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