下津清太郎

下津清太郎（1908年 - 1996年）は、日本の歴史研究に貢献した歴史家であり、官僚としてもその才能を発揮しました。三重県津市に生まれ、旧制三重県立津中学校（現在の三重県立津高等学校）、第八高等学校を経て、1931年に東京帝国大学法学部を卒業しました。

卒業後、下津は東京市や名古屋市において自治行政に携わり、地方行政の実務家としてキャリアを積みました。その後、京都地方裁判所では司法委員を務め、法律の専門家としての知識と経験を生かしました。

本務に励む傍ら、下津は西洋史の研究に情熱を注ぎました。特にヨーロッパの王家に関する研究に力を入れ、その成果は数々の著書として結実しました。彼の研究は、単なる歴史の記述に留まらず、詳細な系図の作成や、王家を取り巻く社会・文化的な背景の考察にまで及びました。

主要な著書としては、『君主制』（石崎書店、1968年）があります。この著書では、君主制の歴史的変遷や、その政治・社会における役割について論じています。

また、『世界帝王系図集』（編、近藤出版社、1982年、東京堂出版、2001年）は、世界各国の帝王の系図を網羅的にまとめたもので、研究者や歴史愛好家にとって貴重な資料となっています。

中でも特筆すべきは、『ヨーロッパの王家の歴史』全5巻（近藤出版社）です。このシリーズでは、ヨーロッパの主要な王家であるハプスブルク家（1984年）、ブルボン家（1984年）、ロマノフ家（1985年）、ホーヘンツォレルン家（1986年）、ハノーヴァー家（1986年）について、それぞれの歴史、家系、文化、政治的影響力を詳細に解説しています。

これらの著書は、ヨーロッパ史の研究において重要な貢献を果たしており、下津清太郎の名を歴史研究の世界に深く刻み込みました。彼の緻密な研究と、それを分かりやすく伝える文章力は、多くの読者に感銘を与え、後世の研究者にも大きな影響を与えています。下津清太郎は、日本の歴史学界における重要な人物の一人として、記憶されるべき存在です。

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