不動産特定共同事業法

不動産特定共同事業法は、複数の投資家が共同で不動産取引や運用を行い、そこから得られる収益を分配する「不動産特定共同事業」を規制する日本の法律です。1994年6月22日に成立し、同月29日に施行されました。

制定の背景

1980年代のバブル経済期には、地価の高騰を背景に、不動産を小口化して節税対策とする商品が登場しました。1988年には、建設省と不動産業界6社が「不動産証券化研究会」を発足させ、不動産共同投資と小口化を推進しました。1990年には、共同投資事業の調査研究を目的として「不動産シンジケーション協議会」（現在の不動産証券化協会の前身）が設立され、この協議会が政府に不動産共同投資に関する法整備を働きかけた結果、1995年に不動産特定共同事業法が成立しました。

法律の概要

不動産特定共同事業法は、事業を行う者に一定の条件を課す許可制を採用し、不動産の適正かつ合理的な利用を促進することを目的としています。この法律では、事業契約に基づいて収益や利益を分配することを目的とする特別目的会社が行い、倒産隔離された事業を「特例事業」と定義しています。

不動産特定共同事業者は、事業内容や資本金に応じて以下の4種類に分類されます。

第1号事業者: 不動産売買や賃貸などを行う事業者が、そこから得た利益を出資額に応じて分配します。資本金1億円以上の要件が課せられます。
第2号事業者: 出資者と第1号事業者の間で契約締結の代理や媒介を行います。資本金1000万円以上の要件が課せられます。
第3号事業者: 特例事業者が不動産取引を委託する事業者です。資本金5000万円以上の要件が課せられます。
第4号事業者: 出資者（特例投資家）と特例事業者の間で契約締結の代理や媒介を行います。資本金1000万円以上の要件が課せられます。

また、投資家一人あたりの出資額が100万円以下、総額が1億円を超えない範囲で行われる事業は「小規模不動産特定共同事業」と呼ばれ、この事業を行う事業者は「小規模不動産特定共同事業者」と分類されます。

小規模不動産特定共同事業者は、許可制ではなく登録制であり、小規模第1号事業者、小規模第2号事業者ともに資本金1000万円以上の要件が課せられます。

関連情報

関連項目:
不動産証券化
外部リンク:
不動産特定共同事業法 - e-Gov法令検索
不動産特定共同事業法施行令 - e-Gov法令検索
不動産特定共同事業法施行規則 - e-Gov法令検索

もう一度検索