不定 (戒律)

不定（ふじょう）について

不定（ふじょう）、またの名を巴（ば）や梵語では「aniyata（アニヤタ）」は、仏教における出家者に課される戒律の一つであり、特に男性の比丘（びく）にのみ適用される禁戒の総称です。この戒律は、比丘が女性と二人きりになることに関連しており、その場合の行動が信頼できる優婆夷（うばい）の証言によって「波羅夷（はらい）」「僧残（そうざん）」「波逸提（はいつてい）」のどれに該当するかを判断します。比丘尼（女性出家者）にはこの規定は適用されません。

二不定

不定は、具体的には次の二つの状況に分類されます。これらは「二不定」と呼ばれます：

1. 屏処不定（へいしょふじょう）
仕切りのある空間で女性と逢うことは、この戒律によって禁じられています。この場合、出家者は女性と一緒にいること自体が問題視され、特に仕切られた空間では、隠密性が高く、行為の内容が他者から見えないため、慎重さが求められます。

2. 露処不定（ろしょふじょう）
開放的な空間で女性と共にいる際に、淫らな話を交わすことも禁じられています。この状況は、出家者が公共の場で不適切な会話をすることを含み、周囲の人々に不快な思いをさせる可能性があるため、特に重視されています。

意義と目的

不定の戒律は、仏教において出家者が心の清らかさを保ち、精神的な修行に集中できるように設計されています。比丘は、信者や社会から信頼される存在であるべきであり、このような規律を守ることで、信頼を維持し、仏教の教えに従った生活を送ることが求められます。

仏教のコミュニティにおいて、信頼と尊敬は非常に重要であり、不定を守ることで、比丘はその信頼を獲得し、修行を遂行するための環境を整えます。

言及された戒律の種類

不定に関連する具体的な戒律の一部には、「波羅夷」「僧残」「波逸提」があります。これらは、比丘が女性との関係においてどのような行動が不適切であるかを具体的に示すもので、判断の基準となります。

まとめ

不定は、ただの戒律にとどまらず、出家者としての心構えや行動規範を明確にし、そうした行動がもたらす影響を考慮するための重要な教えです。これにより、比丘は精神的な修行を継続し、より良い僧侶となる道を歩むことができるのです。

脚注・出典

この情報は、パーリ律や経分別資料に基づいています。詳細については、Bhikkhu Pāṭimokkhaを参照してください。

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