不戦勝 (相撲)

大相撲における不戦勝

大相撲の世界では、不戦勝（ふせんしょう）とは、対戦相手が休場や引退等で試合に参加できない場合に与えられる勝ち星を指します。この勝ちは不戦勝ちとも呼ばれ、逆に対戦相手は不戦敗（ふせんぱい）を記録することになります。この不戦勝は力士が出場した回数にもカウントされる一方で、関取が不戦敗となった場合は出場回数には含まれず、休場扱いとなります。このため、不戦敗を記録した力士の勝敗数の合計は総出場回数とは一致しないことになります。

不戦勝の歴史

不戦勝が制度化されたのは1920年代のことで、大正時代までは対戦相手が決まってからの急な休場により、休場する側も同様に扱われていました。しかし、優勝制度が確立される中で、力士が無意識のうちに不利益を被ることに注目が集まりました。1926年には、初めて不戦勝が試験的に導入されましたが、正式な制度として大相撲に組み込まれたのは昭和時代に入ってからです。

制度の運用

初めて不戦勝が適用されたのは、1927年5月場所でした。この場面では、千秋楽に横綱が休場したことで不戦勝が認定された力士が優勝しました。その後、不戦勝はすべての力士に適用されることとなり、勝ち名乗りも授与されることが一般化されました。近年では、優勝決定戦において不戦勝が生じることがあり、その際には懸賞の取り扱いについても特別な措置が取られることがあります。

不戦勝が記録された場合、その取組を担当する行司は、土俵に上がった力士に対して不戦勝の勝ち名乗りを行います。例えば、横綱などの高い地位の力士が不戦勝を得た際には、その名誉がさらに強調されることがありますが、金星とは認められません。

比較的珍しい状況

不戦勝や不戦敗は、時には非常に特異な事例をうむこともあります。たとえば、両者が不戦敗となるケースは珍しいですが、過去には相手が同時に休場したために両者ともに不戦敗が記録された事例があります。その他にも、選手の遅刻や急な体調不良による不戦勝・不戦敗の例も散発的に見られ、そういったエピソードは観客の記憶に残る珍しいシーンとして語り継がれています。

リアルタイムでの影響

2020年以降、特に新型コロナウイルス感染症が相撲界にも影響を与え、多くの力士が同時に休場する事態が発生しました。その際には、一日に複数の不戦勝が記録される異常事態が発生し、観客に驚きをもたらしました。

結論

不戦勝は大相撲における重要な制度であり、力士の勝星とも深い関わりを持っています。その歴史や運用は、ただ単に勝敗の記録に留まらず、時に力士の名誉をも左右することがあります。今後もこの制度がどのように運用されていくのか、注目していく必要があります。

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