不来方高校バレーボール部自殺事件

不来方高校バレーボール部自殺事件

概要

不来方高校バレーボール部自殺事件は、2018年7月3日に岩手県立不来方高等学校で発生した悲劇的な出来事です。事件の発端は、高校のバレーボール部に所属していた生徒が、自宅で自ら命を絶っていたことが母親によって発見されたことに始まります。この日は、母親が朝になっても息子が起きてこなかったため、部屋に確認しに行くと、息子はすでに自らの命を絶っていました。

悲劇はこの日から始まりましたが、遺族が事件の経緯や背景を追求する中で、この生徒が顧問の教諭からの厳しい指導や暴言に悩まされていたことが次第に明らかになります。自殺する2日前には、全国大会の予選で実業団と戦い、善戦したものの敗北を喫しました。その際の精神的なプレッシャーが、生徒にとって大きな重荷となっていたと考えられます。

遺族は、自殺から5日後に発見された遺書の内容を基に、顧問の教諭の厳しい指導が子どもの精神状態に影響を及ぼしたと主張しました。この遺書には、バレーボールを嫌いになってしまった理由として、顧問から受けた精神的な暴力が記されていました。さらに、岩手県教育委員会が作成した調書でも、顧問の教諭が行った不適切な言動についての記載があり、暴言や追い込み行為があったことが強調されました。

法廷での争い

保護者は、顧問による指導の影響を主張し、教諭と学校に対して訴訟を起こします。2017年11月、盛岡地方裁判所で初めての判決が下されました。裁判所は顧問の指導が社会的に相応しくなかった事実を認めましたが、具体的な暴力や暴言があったとは認めず、保護者は控訴を決めます。

控訴審が行われたのは2019年2月2日で、この際には顧問の指導方法が法的に許される範囲を大きく逸脱していると判断されました。しかし、PTSDの証明は退けられ、保護者はこの判決の結果に複雑な思いを抱くことになります。それでも、暴言の存在が認められたことは保護者にとって重要な意味を持ちました。

その後の展開

2020年7月22日、岩手県教育委員会の第三者委員会が顧問の言動が自殺の原因であるとの報告書を提出し、教育長は公式に謝罪を行いました。同年12月26日には、その顧問が過去に別の学校でも問題行動をとっていたことが報じられ、保護者はより強い責任追及を行います。

2022年6月24日、最終的にこの顧問は懲戒免職となりました。教諭自身はその行為が誤解を生んだ可能性があると述べる一方で、教育委員会は元顧問に対し重度の精神的苦痛を与えたと認識しました。その後も、管理責任を問われた副校長が懲戒処分を受けるなど、教育現場には大きな影響が及ぼされました。

最終的に、2023年4月19日には教育委員会が再発防止策を打ち出す方針を示し、同じような悲劇が繰り返されないよう努める姿勢を表明しました。

この自殺事件は、教育現場の指導方法や心理的なサポートの重要性を再認識させるものであり、関係者にとって大きな教訓となります。

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