与島

与島（よしま）について

与島は香川県坂出市に位置する塩飽諸島の一つで、瀬戸内海の美しい景観の中に浮かんでいます。この島は、面積1.10平方キロメートルで、周囲は6.9キロメートルに及びます。与島の周囲には、櫃石島、岩黒島、鍋島、沙弥島などの島々が点在し、与島諸島を形成しています。歴史的にも重要な位置を占めてきた与島は、その名称が確認できる最古の文献では1590年にさかのぼります。

地理と地勢

与島は、四国の宇多津と本州の下津井のほぼ中間にあるため、古くから重要な港として知られてきました。島は主に花崗岩で構成され、南北には丘が連なっています。かつては採石場としても利用されていましたが、塩田を設けるために埋め立てられた部分もあります。現在、島はほぼ円形の姿をしています。

瑠璃色の海とその周囲の島々は、観光客にとっても魅力的で、特に鍋島灯台は1872年に建設された日本で二番目に古い灯台として知られています。与島の植生は多様で、特にクロマツやアカマツが多く見られます。また、農業活動としては麦作や花卉栽培が行われています。

歴史的な視点

与島の豊かな歴史は、塩飽の漁業と石材業の発展と共に育まれました。かつては島の文字通りの「人名」制度が存在し、船員としての労力を提供する代わりに漁業権が与えられました。江戸時代には商業活動も盛んで、特に岩礁の豊かな漁場での漁業は島の人々の生活の基盤となっていました。19世紀には、与島は「御用石帳場」としても知られ、多くの石材が切り出されていました。

行政と人口の変化

与島全域は坂出市与島町に属し、行政的には坂出市がその管理を行っています。明治期には、与島村が発足し、その後、1953年に坂出市に合併されました。当初の居住者数は少数でしたが、瀬戸大橋の開通に伴い多くの建設関係者が訪れたり、観光業の期待もあって、1980年代には人口は若干増加しました。しかし、観光業の衰退や高齢化により、現在では人口は減少傾向にあります。

交通の整備

与島は、1988年に開通した瀬戸大橋により本土と陸路でつながり、公共交通機関も整備されています。島内には与島パーキングエリアや与島インターチェンジがあり、島民専用の交通アクセスも整備されています。ただし、現在定期航路は存在していません。

観光と文化

瀬戸大橋開通翌年には774万人の観光客を集めた与島ですが、その後は利用者が減少し、商業施設も次々と閉鎖されていきました。特に「フィッシャーマンズ・ワーフ」の開業と閉鎖の経過は注目されます。かつては観光船や新たな観光施設も設けられましたが、現在は少しの施設のみが残っています。与島の文化的特性は、盆踊りや伝統的な祭りに見ることができ、地域のアイデンティティを醸し出しています。

終わりに

与島は、歴史的背景、地理的特性、変遷する人口や文化が交錯する魅力的な島です。近年の人口減少や観光業の衰退がある一方で、地域の伝統や産業を維持しながら新たな展開を望む声も多いことでしょう。与島の未来は、住民と観光客の両方にとって興味深い課題を提示しています。

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