与謝野秀

与謝野 秀（よさの しげる）の生涯と業績

与謝野 秀（1904年7月7日 - 1971年1月25日）は、日本の外交官として活躍した人物である。彼は、著名な歌人である与謝野鉄幹と与謝野晶子の二男として生まれ、輝かしい家系の一員として育った。教育を受けた暁星学園や第一高等学校を卒業後、1928年には東京帝国大学法学部の政治学科を修了し、外務省に入省した。

外交官としてのキャリアは、まずフランスにおける日本国大使館での勤務から始まった。彼は1935年、球磨川電気の社長であった坂内虎次の娘である道子と結婚し、家庭を持つこととなった。この夫婦からは、政治家として知られる長男の馨、金融家の次男達、詩人で美術評論家の三女文子が生まれ、家族は文化的なフィールドでも大いに貢献した。

外務省欧亜局に在籍中、秀は日独伊三国同盟に対して反対の立場をとり、その独自の見解が評価された。第二次世界大戦中にはスペイン、スイス、ドイツを中心に駐在し、赤十字社との関係構築にも努めた。彼の外交の手腕は高く評価され、戦後はベルギーに勤務し、その後は公使や大使としての役職を歴任することとなる。1954年には初代駐エジプト特命全権大使に任命され、1956年からは駐スペイン特命全権大使として活動した。

さらに、1962年から1964年にかけては東京オリンピック大会組織委員事務総長として大会の準備に携わり、その影響力は国際的にも広がった。1965年には駐イタリア特命全権大使に任命され、国際的な協議や交流の中核を担った。

与謝野秀はその外交活動だけでなく、幅広い著述活動も行い、彼の出版物は外交官としての視点を取り入れたものが多い。「欧羅巴雑記帳」や「オリンピック雑記帳」などの著書により、彼の記憶や考察が後世に伝えられている。また、彼の妻である道子との共著として小事典を編纂するなど、学問や文化に対する貢献も多彩であった。

1971年1月25日、原子力委員会の委員として在任中、肝性昏睡により66歳でこの世を去った。彼の死は外交界や文化界において大きな損失とされ、その業績は現在においてもしばしば語られている。与謝野秀が残した数々の名著やその活動は、今なお多くの人に感銘を与え続けている。

彼の家族もまた、文化的な影響力を持つ存在であり、長男の馨や次男の達はそれぞれの分野で活躍し、三女の文子は詩人や美術評論家としてしられる。さらに、与謝野家の直系の者たちは、それぞれの人生において文学や芸術に寄与し、家族の伝統を受け継いでいる。

与謝野秀の人生は、外交官としての卓越した業績と、家族を通じて日本の文化に寄与した功績に富んでいる。彼の存在は、戦後の日本における国際関係の中でも重要な立場を占めており、その業績は今も多くの人々に引き続き影響を与え続けている。

もう一度検索