世に棲む日日

『世に棲む日日』

『世に棲む日日』は、著名な作家司馬遼太郎による長編歴史小説で、1969年から1970年にかけて「週刊朝日」に連載されました。この作品は、幕末の思想家吉田松陰とその門下生である高杉晋作との関係性を中心に描かれています。

物語の概要

物語は、吉田松陰の理念と彼の教えを受けた高杉晋作が、長州藩士として明治維新に貢献する姿を追います。特に高杉は、奇兵隊を結成し、馬関戦争や長州征伐で活躍したことが強調されます。この作品は二部構成になっており、前編では吉田松陰の生涯、後編では高杉晋作の奔走が描かれています。また、司馬遼太郎は『世に棲む日日』の功績により、1972年に第6回吉川英治文学賞を受賞しました。さらに、この作品は1977年に放送されたNHKの大河ドラマ『花神』の原作としても知られています。

特徴と書き手の思い

司馬遼太郎は、吉田松陰に対する個人的な感情を持っており、作品内では自ら「毛虫のように嫌い」と述べています。このため、史実とは異なる描写や誤りが散見されることも特徴として挙げられますが、その独自の視点がかえって物語に深みを与えています。松陰の思想や、彼の教えが如何にして高杉に影響を与え、そして彼がどのように日本の歴史に名を刻んだのか、その過程が引き込まれるように描かれています。

テレビドラマ化

『世に棲む日日』を原作としたテレビドラマは、前述の『花神』以外にも、2000年に放送されたNHKの『蒼天の夢 松陰と晋作・新世紀への挑戦』があります。これにより、広くその魅力が視聴者に届けられました。制作には、脚本に下川博、音楽に服部隆之、演出に松岡孝治が関わりました。

主なキャスト

NHKのドラマでは、吉田松陰を演じたのは岩渕幸弘や浅利陽介などで、高杉晋作役には野村萬斎が名を連ねています。また、多数のキャストが額をそろえ、時代背景をリアルに表現しました。これにより、歴史の舞台が生き生きと再現され、視聴者は物語に引き込まれました。

書籍の刊行

『世に棲む日日』は、文藝春秋から全3巻が1971年に刊行され、その後文春文庫で2003年に改版されました。また、司馬遼太郎全集の一部としても収められています。

関連項目

この作品は長州藩の歴史だけでなく、幕末の動乱や志士たちの信念を知る上でも貴重な資料となります。正月時代劇の一環としても扱われ、庶民からの支持を集めています。歴史の深い背景を理解するためにも、多くの人々に読まれ続けている名作です。

もう一度検索