世界の夜

『世界の夜』(Il Mondo di Notte): モンド映画の夜明けを告げた、官能と興奮のエンターテインメント

1959年、イタリアで製作された映画『世界の夜』(Il Mondo di Notte)は、日本で1961年に公開され、センセーションを巻き起こしました。日本では『ヨーロッパの夜』が先に公開されたものの、『世界の夜』の方が先に製作されており、この作品が後の“夜モノ”映画というジャンルを確立したという点で、その歴史的意義は非常に大きいと言えます。

『世界の夜』は、単なるショーの記録映画ではありません。世界中から集められたストリッパー、アクロバット、ダンサーたちが繰り広げる、官能的で刺激的なパフォーマンスの数々は、当時の観客を魅了しただけでなく、後のモンド映画へと繋がる重要な一歩となりました。ストリップ・ティーズ、バーレスクショー、セクシーなアクロバットショーなど、多様なエンターテインメントが詰め込まれており、まさに大人のための娯楽作品と言えるでしょう。ヴォードヴィル風のショーなども含まれ、当時の大衆娯楽の粋を集めたような内容となっています。

監督はミーノ・ロイ、音楽はピエロ・ピッチオーニ、撮影はトニーノ・デリ・コリという、イタリア映画界を代表するスタッフ陣によって制作された本作は、高い技術力と芸術性も兼ね備えています。日本語版ナレーションは、三国一朗が担当しています。

『世界の夜』は、その後の“夜モノ”映画というジャンルに多大な影響を与えました。同系統の作品としては、『ヨーロッパの夜』『アメリカの夜』『セクシーの夜』などがあります。しかし、その中でも『世界の夜』は、独自の雰囲気と完成度で、他の追随を許さない存在感を放っています。

続編として『続・世界の夜』も制作されましたが、さらに強烈な残酷描写を含む『地球の皮を剥ぐ』という作品も存在し、シリーズの正統的な続編としては1975年の『ワールド・バイ・ナイトTODAY』が挙げられます。こちらは、まさに“夜モノ”映画の復活版と言えるでしょう。

『世界の夜』は、単なるエロティックな作品として片付けるにはあまりにも奥深く、複雑な魅力を持つ映画です。当時の社会情勢や文化、そして人間の欲望や本能を映し出す鏡として、本作は今もなお、多くの観客を惹きつけてやまないのです。その時代性と普遍性を兼ね備えた作品としての価値は、これからも色褪せることはないでしょう。allcinema、KINENOTE、IMDbなどでも詳細な情報が確認できます。

スタッフ

監督：ミーノ・ロイ
音楽：ピエロ・ピッチオーニ
撮影：トニーノ・デリ・コリ
日本語版ナレーション：三国一朗

同類映画

ヨーロッパの夜
アメリカの夜
セクシーの夜

関連項目

夜モノ映画
* 地球の皮を剥ぐ

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