世界幸福度報告

世界幸福度報告：国民の幸福度を測る試み

世界幸福度報告書は、国連持続可能な開発ソリューションネットワークが毎年発表している、世界各国の幸福度を測る指標です。この報告書は、単に幸福度ランキングを示すだけでなく、幸福度と様々な社会経済的要因との関連性を分析することで、より幸福な社会を築くための示唆を与えています。

幸福度の測定方法

幸福度の数値は、ギャラップ社による世論調査に基づいています。調査では、国民に対し、自身の幸福度を0点から10点までの間で評価してもらうことで、主観的な幸福度を数値化しています。この主観的な幸福度データに、GDP、健康寿命、社会的支援、人生の選択の自由度、寛容さ、そして腐敗の認識といった6つの主要な説明変数を用いて、回帰分析が行われます。これにより、それぞれの要因が幸福度にどのような影響を与えているかを定量的に分析することが可能になります。

説明変数の詳細

報告書で使用されている6つの説明変数は、国民の幸福度を多角的に捉えるために厳選されています。

人口あたりGDP（対数）：経済的な豊かさが幸福度に与える影響を分析します。
社会的支援：友人や家族からのサポートの有無が幸福度にどう影響するかを調べます。信頼できる人間関係の有無は、精神的な安定に大きく関与すると考えられています。
健康寿命：健康で過ごす期間の長さが幸福度に与える影響を分析します。健康的な生活を送れる期間が長いほど、より幸福な人生を送れる可能性が高くなります。
人生の選択の自由度：人生における選択の自由が幸福度に与える影響を分析します。自分の意思で自由に選択できる環境は、幸福感を高める重要な要素の一つです。
寛容さ・気前の良さ：社会への貢献意欲や他者への思いやりが幸福度にどう影響するかを調べます。ボランティア活動や寄付などの行動は、幸福感を高める可能性があります。
腐敗の認識：社会や政府の腐敗が幸福度に与える影響を分析します。腐敗の蔓延は、社会不安や不平等感を生み出し、幸福度を低下させる可能性があります。

これらの変数の分析結果によって、幸福度を高めるための政策立案に役立つ知見が得られます。

日本の幸福度ランキング推移

日本は、2010年代前半は世界幸福度ランキングで40位台を維持していました。しかし、2010年代後半からは50位台に順位を落とし、2017年から2020年にかけては毎年過去最低順位を記録しました。2021年には過去最低順位を回避しましたが、依然として上位国からは程遠い状況にあります。2022年は54位、2023年は47位と順位に変化が見られました。2024年は51位に後退しました。この順位の変動は、経済状況や社会情勢の変化を反映していると考えられます。

世界幸福度報告の意義

世界幸福度報告は、経済指標だけでは測りきれない国民の幸福度を数値化し、その要因を分析することで、より良い社会の構築に貢献することを目指しています。単なるランキングだけでなく、その背景にある社会構造や政策を分析することで、各国政府や国際機関にとって貴重な指標となるだけでなく、国民一人ひとりが自身の幸福について考えるきっかけとなるでしょう。幸福度の向上は、持続可能な開発目標（SDGs）の達成にも大きく貢献します。

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