世界最小の超高層ビル

ニュービー・マクマホン・ビル：世界最小の超高層ビル

ニュービー・マクマホン・ビルは、テキサス州ウィチタフォールズの中心部に位置し、一般的に世界最小の超高層ビルとして知られています。この赤レンガと人造石で建てられた建築物は、近代的な新古典主義のスタイルを特徴としており、高さはわずか12メートル、外法のサイズは奥行き5.5メートル、幅3メートルです。内部の面積は約10平方メートルで、内部階段が面積の25％を占めています。

背景と歴史

1912年にテキサス州ウィチタ郡で大規模な石油貯留層が発見され、ウィチタフォールズは急速に繁栄しました。1918年には、約2万人の入植者がこの地域に集まり、一夜にして裕福になった人々も多くいました。この急激な経済成長に対処するため、オフィススペースの需要が高まり、地元の投資家たちは新しい高層ビルの建設を計画しました。

ニュービー・マクマホン・ビルは、ウィチタフォールズ・オクラホマシティ鉄道会社の取締役であったアウグストゥス・ニュービーによって1906年に提案されました。しかし、このビルが本当に高層であるかどうかを証明するためには、設計段階において投資家たちの誤解を利用されました。

詐欺計画と法廷闘争

1919年、マクマホンは高層ビルの建設を約束し、20万ドルを集めましたが、実際には高さ12メートルの建物が築かれることとなりました。彼は「480インチ」という高さの記載を「480フィート」と誤解されるように仕向け、投資家たちの信頼を得ることに成功しました。このため、彼は法律の網をかいくぐり、その後の法廷闘争でも正当性を主張することができました。

建物が完成すると、投資家たちは自身が期待した150メートルのビルではなく、わずか12メートルのビルに欺かれたことに気づきましたが、既に法的に建設が認められていたため、彼らは何もできませんでした。マクマホンはその資金を無断で取得し、その後姿を消しました。

ビルの変遷

ニュービー・マクマホン・ビルは1920年代には「世界最小の超高層ビル」として有名になりましたが、その後は石油ブームが終わりを迎え、ビルは放置状態に陥りました。1931年には火災が発生し、建物は全壊しましたが、その後も何度かテナントが入居するものの、多くは失敗に終わりました。地元住民の努力により、ビルは取り壊されることなく残されました。

1986年には歴史的建物としての認識が高まり、ウィチタ郡文化遺産協会に寄贈されました。その後、2000年に新たな所有者が現れ、ビルの改修作業が始まりました。

現在のニュービー・マクマホン・ビル

ニュービー・マクマホン・ビルは現在、ウィチタフォールズのデポ・スクエア歴史地区の一部としてテキサス州歴史建造物に認定されており、アメリカ合衆国国家歴史登録財にも登録されています。ビル内には骨董品販売店や委託販売店が営業しており、地域の観光名所としても知られています。

このビルは、過去の不正や経済乱高下を象徴する存在であり、ウィチタフォールズの歴史を語る重要な業績となりました。また、2006年に制作されたドキュメンタリー映画『Wichita Falls：The Future of Our Past』にも取り上げられ、地域の歴史的価値が再度評価されるきっかけとなりました。

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