世界気候会議

世界気候会議：地球規模の気候変動問題への取り組み

世界気候会議（WCC）は、世界気象機関（WMO）が主催する国際会議であり、地球温暖化をはじめとする地球規模の気候問題に関する研究、予測、そして対策を協議する重要な場です。1974年、国際連合総会においてWMOへの気候変動研究推進要請を機に、気候変動問題に特化した大規模な国際会議として開催されることとなり、これまでに1979年、1990年、2009年の3回、スイスのジュネーブで開催されています。各会議は、地球規模の気候変動問題への理解を深め、国際的な協調体制構築に大きく貢献しました。

第一回世界気候会議（FWCC）: 1979年

1979年2月、ジュネーブで開催された第一回会議は、気候変動に関する初の国際会議として歴史的な意義を持ちます。多くの科学者が参加し、気候データの分析、気候変動の要因に関する議論、影響評価などが行われました。当時、地球温暖化説と地球寒冷化説が併存していましたが、データ不足から結論は出ず、気候変動研究の推進が提言されました。この会議をきっかけに、同年5月にWMO総会で世界気候計画（WCP）が採択され、そのサブプログラムとして世界気候研究計画（WCRP）が設立されました。さらに、1988年にはWMOと国連環境計画（UNEP）が共同で、気候変動に関する政府間パネル（IPCC）を設立することとなりました。

第二回世界気候会議（SWCC）: 1990年

1990年10月、再びジュネーブで開催された第二回会議は、より政治的な色彩を帯びました。主な目的は、WCPの再検討でしたが、IPCCの第1次評価報告書も発表され、気候変動のリスクが強く訴えられました。各国間の厳しい交渉の末、閣僚宣言が発出されましたが、具体的なコミットメントが不足していたため、一部の参加者からは失望の声も上がりました。しかし、この会議は、気候変動に関する科学的知見の重要性を改めて強調し、研究・観測の強化を提言しました。この流れを受けて、同年12月には気候変動枠組条約交渉会議が始まり、1992年には気候変動枠組条約（UNFCCC）が採択されました。また、全球気候観測システム（GCOS）の設立も推進されました。

第三回世界気候会議（WCC-3）: 2009年

2009年8月、ジュネーブで開催された第三回会議では、気候予測とその活用が中心議題となりました。季節から数十年規模の気候予測を、社会全体、食糧生産、エネルギー管理など幅広い分野で活用するための枠組み構築を目指しました。気候サービス提供者、政策立案者、そして予測の利用者らが参加し、気候情報の共有と、気候変動への適応策強化に向けた議論が行われました。WCC-3の成果は、国連ミレニアム開発目標や災害リスク軽減にも貢献するものであり、2009年12月のCOP15（コペンハーゲン）への重要な準備となりました。

まとめ

3回に渡る世界気候会議は、地球規模の気候変動問題への理解を深め、国際的な取り組みを加速させる上で重要な役割を果たしました。各会議での成果は、IPCCの設立、気候変動枠組条約、そして地球規模での気候観測システム構築など、後の国際的な枠組み形成に大きな影響を与え、現在も続く気候変動対策の基礎となっています。今後の気候変動対策においても、国際的な協調と科学的知見に基づいた取り組みが不可欠であり、世界気候会議の役割はますます重要性を増していると言えるでしょう。

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