世界車いす・切断者競技大会

「世界車いす・切断者競技大会」（IWAS World Games）は、国際車いす・切断者競技連盟（International Wheelchair & Amputee Sports Federation, IWAS）が主催する国際的な総合スポーツ大会です。主に肢体不自由のあるアスリート、具体的には車いす使用者や切断者などが参加対象となります。この大会は、その名称や主催組織を変遷させながら、障害者スポーツ、特にパラリンピックの歴史において重要な位置を占めてきました。

大会の起源は、第二次世界大戦後のイギリスに遡ります。脊髄を損傷した傷痍軍人たちのリハビリテーションの一環として、神経外科医ルートヴィヒ・グットマン博士が1948年にストーク・マンデビル病院で始めたアーチェリー大会がその始まりとされています。これが後に「ストーク・マンデビル競技大会」として発展しました。

1952年にはオランダからの選手団が参加し、障害のあるアスリートによる初の国際的なスポーツイベントとなりました。この国際ストーク・マンデビル競技大会は毎年開催されるようになり、規模を拡大していきます。特に1960年にイタリアのローマで開催された第9回大会は、同地で行われた夏季オリンピックの直後に開催されたことから、後に「第一回パラリンピック」と位置づけられることになります。このように、ストーク・マンデビル競技大会は近代パラリンピックの直接的な源流となったのです。

パラリンピックが多様な障害カテゴリーを包含する大会へと成長していく一方で、ストーク・マンデビル競技大会は長らく車いすを使用するアスリートのための総合競技大会という性格を保ち続けました。当初は国際ストーク・マンデビル競技大会連盟（ISMGF）が主催していましたが、後に国際ストーク・マンデビル車いす競技連盟（International Stoke Mandeville Wheelchair Sports Federation, ISMWSF）へと名称を変更しています。

時代の変化と障害者スポーツの発展に伴い、新たな動きが見られました。1999年には、ISMWSF主催による「世界車いす競技大会」（World Wheelchair Games）がニュージーランドのクライストチャーチで初めて開催されました。さらに、2003年に同じくクライストチャーチで開催された大会では、国際身体障害者スポーツ機構（ISOD）が主催する切断者アスリートの競技大会と共催される形となりました。これは、後の組織統合への布石とも言えます。

そして2004年、車いすスポーツを統括してきたISMWSFと、切断者スポーツなどを統括していたISODが合併し、新たに国際車いす・切断者競技連盟（IWAS）が誕生しました。この組織再編を受けて、翌年の2005年にはIWAS主催の初めての国際総合競技大会として「第一回IWAS世界競技大会」（IWAS World Games）がブラジルのリオデジャネイロで開催されました。以降も、2007年の台北（台湾）、2009年のバンガロール（インド）、2011年のシャールジャ（アラブ首長国連邦）など、世界各地で開催されています。

このように、本大会は障害者スポーツの歴史とともに歩み、組織や名称を変えながら、肢体不自由アスリートたちの主要な国際競技の場としての役割を果たし続けています。

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