世紀とともに

世紀とともに：金日成の回想録

『世紀とともに』（朝鮮語：세기와더불어）は、北朝鮮の建国者である金日成が執筆した回想録で、彼の幼少期から1945年の解放までの歴史的な出来事が詳細に記されています。この作品は全8巻から成り、1992年に第1巻が出版されましたが、1994年に金日成が他界したため、第7巻と第8巻は彼の死後に刊行されました。

本書の初期の計画では、全30巻が予定されていましたが、代わりにこの短縮版が現実となりました。書籍は主に朝鮮労働党出版社から刊行されており、朝鮮民主主義人民共和国の公式な立場に基づく内容が特徴です。そのため、金日成の個人的な体験や視点が色濃く反映されており、北朝鮮の歴史理解には欠かせない資料とされています。

書誌情報

朝鮮語版
本書は朝鮮労働党出版社により出版されました。また、日本における在日朝鮮人総聯合会のウェブサイトでは、朝鮮語版の内容が提供されています。

日本語版
日本語版は、雄山閣出版によって『金日成回顧録 世紀とともに』という名前で刊行されました。著者は金日成本人で、翻訳は金日成回顧録翻訳出版委員会によるものです。この日本語版は1992年から1997年にかけて発行されました。

韓国語版
韓国では、教保文庫が2021年4月1日に韓国語版を初めて出版しましたが、販売開始からわずか25日後に販売中止となりました。教保文庫では、韓国の大法院が本書を利敵表現物と判断し、読者保護のために販売を中止したと説明しています。これに対し、北朝鮮の対外宣伝サイト『メアリ』は、韓国政府の対応を批判し、言論の自由が奪われていると主張しました。

その他言語版
この書籍は英語版（Reminiscences: With the Century）や中国語版（《金日成回憶錄：與世紀同行》）なども刊行されており、それぞれ1993年から1998年にかけて外国文総合出版社から出版されました。

まとめ

『世紀とともに』は金日成の個人的な経験や政治的視点が溢れる書籍であり、北朝鮮の歴史や思想を知る上での重要な資料です。北朝鮮の特異な政治背景を持つ著者の回想録であるため、内容には強い主観性が含まれている点も考慮する必要があります。金日成の視点から描かれたこの作品を通じて、彼の信念や時代背景を深く理解する手助けとなることでしょう。

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