丘のむこうに

レッド・ツェッペリンの「丘のむこうに」（Over the Hills and Far Away）は、1973年に発表された彼らの5枚目のアルバム『聖なる館』のA面3曲目に収録されている楽曲です。ジミー・ペイジとロバート・プラントによって作詞作曲されました。レコードでの演奏時間は約4分50秒です。

楽曲構成とアレンジ

この楽曲は、多様なギターの音色を巧みに活かした、緻密なアレンジが施されているのが特徴です。アコースティック・ギターの静かなリフから始まり、アコースティック12弦ギター、ソフトなヴォーカルが順次加わっていきます。そして、エレクトリックギター、エレクトリックベース、ドラムスが加わることで、曲調は一転してハードロック風へと変化し、プラントは高音のシャウトを披露します。アンサンブルは徐々にフェイドアウトしていき、最後はクラビネットのアルペジオで静かに締めくくられます。

ペイジによれば、レコーディングの際には、完成時のアレンジとは異なり、まずエレクトリックパートを録音し、その後にアコースティック・ギターをオーバーダビングしたとのことです。この手法によって、楽曲に独特の奥行きとダイナミズムが生まれたと考えられます。

ギターワールド誌が選ぶ「偉大なる12弦ギターソング」では、この曲が3位に選ばれており、そのギターアレンジの秀逸さが評価されています。

ライブ・パフォーマンス

「丘のむこうに」は、『聖なる館』の発売に先駆けて、1972年のアメリカツアーで初めて演奏されました。以降、1979年まで基本的に常にセットリストに含まれており、彼らのライブパフォーマンスにおいて重要な位置を占めていました。1977年のツアーでは、「死にかけて」（In My Time of Dying）の差替え曲として演奏されたこともあります。

ライブにおいて、プラントはしばしばギターソロ直前の「a pocketful of gold」という歌詞の後に続けて、「Acapulco Gold」（アカプルコ産のマリファナ）というアドリブを入れることがありました。これは、観客を沸かせ、ライブの熱気を高めるためのパフォーマンスの一環でした。

参考文献

* 『レッド・ツェッペリン全曲解説』デイヴ・ルイス著　福田美環子訳　シンコー・ミュージック刊

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