丘為

丘為（きゅう い、生没年不詳）は、唐代に活躍した詩人であり、その生涯は孝行息子としての逸話に彩られています。蘇州嘉興県（現在の浙江省嘉興市周辺）の出身です。


天宝2年（743年）に進士に及第し、官僚としての道を歩み始めます。その才能と人柄から太子右庶子という要職にまで昇進しました。しかし、丘為の名を後世に伝えたのは、彼の官位の高さだけではありません。彼は、継母に対する深い孝心によって広く知られていたのです。


丘為が退官したのは八十余歳の時でした。高齢ながらも、彼の母は健在でありました。退官後、彼は官位を退いた後も、朝廷から特別な計らいを受け、俸禄の半額が支給され続けました。これは、彼の孝行ぶりが朝廷においても高く評価されていた証左と言えるでしょう。


丘為の卒年は96歳と伝えられていますが、生没年については詳しい記録が残っていません。しかし、彼の残した詩と、孝行息子としての逸話は、人々の心に深く刻まれ、語り継がれています。


詩人としての丘為は、洗練された五言絶句の名手として知られています。彼の代表作として挙げられるのが『左掖梨花』です。この詩は、宮中の梨の花を題材にしたもので、短いながらも情景描写が際立っています。以下にその詩を引用します。



左掖梨花






この詩は、短いながらも、梨の花の美しさを見事に表現しており、読者の心に静かな感動を与えます。丘為の詩は、技巧に走ることなく、自然な感情をありのままに表現している点が特徴です。彼の詩からは、穏やかで優しい人柄が偲ばれます。


丘為は、官僚として、そして詩人として、唐代の文化に貢献しました。彼の作品は、現在も多くの人々に愛され、読み継がれています。また、彼の孝行息子としての生き方は、現代においても私たちに大切な教訓を与えてくれます。

もう一度検索