中井宗太郎

中井宗太郎（1879年9月19日 - 1966年3月16日）は、日本の美術史研究に多大な貢献をした人物です。彼の研究は、日本および東洋美術史の分野に深く根ざしており、その評論は多くの人々に影響を与えました。

京都府に生まれた中井は、東京帝国大学を卒業後、美術教育の道に進みます。1909年に新設された京都市立絵画専門学校（現在の京都市立芸術大学）において講師として教鞭を執り始め、後に教授、そして1942年には校長に就任しました。戦後は立命館大学でも教授を務め、後進の育成に尽力しました。

中井宗太郎の業績は、数々の著書によって知られています。初期の著作である『近代芸術概論』（1922年）では、近代芸術の潮流を捉え、その本質に迫ろうとしました。また、『永徳と山楽』（1927年）では、桃山時代を代表する絵師である狩野永徳と狩野山楽の画業を詳細に分析し、彼らの芸術的 достиженияを明らかにしました。

戦後には、『絵画論』（1947年）や『浮世絵』（1953年）といった著作を発表し、絵画の本質や浮世絵の歴史と魅力について考察を深めました。これらの著作は、美術に関心を持つ人々にとって貴重な資料となっています。没後の1976年には、『日本絵画論』が出版され、彼の日本絵画に対する深い造詣が示されました。

また、中井は編著としても才能を発揮しました。『氷河時代と埃及芸術』（1925年）では、古代の美術を紹介し、美術史の裾野を広げました。その他、『華岳作品集』（1942年）、『司馬江漢』（1942年）などの編著も手掛け、幅広い分野で美術研究に貢献しました。

中井宗太郎の研究は、単なる知識の集積に留まらず、美術作品に対する深い洞察と愛情に根ざしていました。彼の著作は、美術史研究者だけでなく、美術を愛するすべての人々にとって、示唆に富む内容となっています。

参考文献
田野葉月、「京都画壇と中井宗太郎 その理念と実践」『美術教育』 2008年 2008巻 291号 p.24-29, doi:10.11356/arted1951.2008.24、日本美術教育学会学

外部リンク
デジタル版日本人名大辞典

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