中原会戦

中原会戦について

中原会戦（ちゅうげんかいせん）は、日中戦争の最中、1941年5月から6月にかけて山西省南部で行われた日本軍と中国軍との間の戦闘である。通称「百号作戦」とも呼ばれ、中国側では中条山戦役または晋南会戦と称される。この会戦は、日本軍が北支那方面軍を主体に中国第1戦区軍の包囲殲滅を目指して進行し、大きな戦果を上げることとなった。

背景

1940年秋、当時の日本陸軍は山西省周辺における敵情を精査した結果、中国共産党軍（八路軍）は日本軍の討伐によって戦力が低下していると判断。さらに、山西軍（第2戦区軍）も戦力の低迷が続いているとの見解を持っていた。これを受けて日本軍第1軍は衛立煌将軍指揮下の中央軍（第1戦区軍）に対して攻撃を計画。その意図は、中国領内での治安圏を拡大することであった。この計画には北支那方面軍も同意し、華中から第17および第33師団が追加で転用されることが決定された。

また、方面軍は中共軍よりも重慶政府の指揮下にある中国軍を攻撃対象とすることとした。当初、中共軍の討伐を優先すべきとする意見もあったが、日本軍は中国軍を先に制圧した後に本格的に中共への攻撃を行う方針を選んだ。

情報戦

中原会戦の際、国民党軍が使用していた暗号は脆弱であり、多くが日本軍に解読されていた。これにより、日本軍は敵軍の行動を把握し、先手を打つことが可能だった。また、情報課は事前に偽情報を流して中国軍を混乱させ、通信を傍受する機会を増やした。こうした情報戦は日本軍の有利な攻撃開始に寄与した。

参加兵力

日本軍

• - 北支那方面軍 - 司令官：多田駿中将、42.5個大隊
• - 第1軍 - 軍司令官：篠塚義男中将（山西省方面から攻撃）
• - 第33師団、第36師団、第37師団、第41師団など

中国軍

• - 第1戦区 - 司令長官：衛立煌
• - 第5集団軍 - 総司令：曽万鍾
• - 第14集団軍 - 総司令：劉茂恩

経過

5月7日夜、中原会戦が始まる。日本軍は、一斉に攻撃を開始し、黄河周辺の渡河点を素早く占領。数日後には中国軍を二重包囲し、さらなる掃討攻撃によって多くの敵軍を撃破した。

東面においても進撃が続き、中国軍の拠点を次々に奪取。6月に入ると残存する敵部隊が北西へ逃げようとしたが、日本軍の攻撃により多くが壊滅した。

結果

6月15日、日本軍は「赫々たる戦果」を収め、中原会戦を終結した。中国軍には、死体約42,000体、捕虜約35,000名に及ぶ損害を与えた一方、日本軍の戦死者は673名、負傷者は2,292名にとどまった。また、この勝利により日本軍はさらなる討伐作戦に弾みをつけたが、地域の治安は却って悪化した。

中原会戦の結果、中国軍が一掃されると共に中共勢力が浸透し始め、日本軍の戦略が適切でなかったため、治安が脆弱化した。この混乱の中で、共産軍は機をうかがって勢力を拡大し、遊撃戦は彼らの手に委ねられることとなった。

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