中国におけるクマのプーさんの検閲

中国におけるクマのプーさんの検閲

本稿では、習近平政権のもと、中華人民共和国でのディズニーキャラクター『クマのプーさん』に対する検閲について詳しく探ります。この現象は、プーさんが中国共産党の最高指導者である習近平に関連付けられたことから始まりました。特に、プーさんの体型が習近平に似ているとされ、反体制派によって指導者を揶揄する象徴として利用されるようになりました。これにより、クマのプーさんはさまざまな場面で議論の的となり、中国のインターネット上でその影響力を持つキャラクターとなりました。

検閲の背景

中華人民共和国では、一党制を貫く中国共産党による厳格な検閲が行われています。これは、革命に関する歴史的事件や人権問題、国際的な独立運動など、多岐にわたるテーマに影響を及ぼしています。また、ネット空間においても、グレート・ファイアウォールと呼ばれる検閲システムが導入されており、政府に都合の悪い情報は削除されています。

プーさん検閲の歴史的経緯

プーさんと習近平の比較は、2013年に遡ることができます。この年、習近平がアメリカのバラク・オバマ大統領と一緒に歩く姿を、中国のネットユーザーがプーさんとその友人ティガーに似ていると喩えたことがきっかけとなりました。続いて、2014年には日本の安倍晋三首相との握手の際に耐え難い表情を浮かべた習近平の写真がプーさんとイーヨーに模して広まりました。このことが原因で、プーさんに関する画像や投稿が次々とブロック対象となりました。

2017年7月には、中国共産党第19回全国代表大会を控え、プーさんへの検閲がさらに強化されました。BBCは「習氏の権力を脅かす存在は受け入れられない」と指摘しています。また、この時期に劉暁波という反体制活動家がプーさんのマグカップを持っている画像が拡散されたことも影響を与えたとされています。

具体的な事例

2018年には、ディズニー映画『プーと大人になった僕』が中国で公開されることが認められず、検閲の対象になったとの指摘がありました。翌2019年には、アメリカのアニメ『サウスパーク』のエピソードにプーさんが登場し、その内容が問題視され、中国での放送が禁じられる事態になりました。2023年には『プー あくまのくまさん』の香港、マカオでの公開が突然中止され、その背景には政治的な要因があるとの見解が示されています。

中国国外の反応

中国の検閲行為に対して、台湾の外交当局はジョークを交えながら反応し、「台湾ではすべてのクマが平等に作られている」といった発言をしています。また、2023年4月には台湾国防省のパイロットがプーさんのキャラクターを用いたワッペンを使用することで、中国当局に対抗する姿勢を見せました。このように、プーさんを巡る検閲は、国内外でさまざまな反応を引き起こしています。

結論

クマのプーさんの検閲は、単なるキャラクターの扱いにとどまらず、中華人民共和国における言論の自由や権力への挑戦がどのように行われているかを示す重要な事例です。今後もこの現象がどのように発展するかが注目されます。

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