中国塩政史

中国塩政史

塩の産地

中国では、塩の生産地が海岸沿いと内陸部で区分されており、海塩の主な地域は以下の5つです。

• - 長蘆塩（河北省）
• - 山東塩（山東省）
• - 両淮塩（江蘇省、長江以北）
• - 両浙塩（江蘇省、長江以南および浙江省）
• - 福建塩（福建省）
• - 両広塩（広東省）

内陸部では、山西省運城市の解州にある「解池」という塩湖が古くから重要視されています。また、青海省や新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区にも塩が取れる池が点在しています。四川省や雲南省には「井鹽」と呼ばれる塩が生産される塩井があります。

唐代以前の塩政

中国最古の夏朝は運城市に都城を建立し、塩を生み出す解池の近くで商業や防衛に適した位置にありました。漢代の紀元前81年には、塩と鉄に関する専売制度を議論する「塩鉄会議」が開かれ、経済政策として塩鉄の専売が進められました。この制度は、唐代にも続き、税収の一環として製塩業者への課税が行われました。

専売制度の導入は、塩鉄使の第五琦によって進められ、758年には塩法が改正されました。この法は、塩商に塩を販売し、その活動を自由に行えるようにするものでした。この時点で塩は生活必需品としての地位を確立し、高額であっても購入せざるを得ない状況が続いていました。政府は財政難で塩の価格を引き上げ、庶民を苦しめる結果となり、密売を行う「塩賊」が出現するなどの悪循環が発生しました。

宋元時代の塩政

宋代と元代は、唐代の塩制度を維持しつつ、通商法として「塩引法」を導入しました。この法制の下、塩商人は産地で塩を購入し、指定された地域で販売することが求められました。

明代の塩政

明代も宋・元の制度を受け継ぎ、官による販売制度「戸口食塩法」が採用されました。この制度では塩商人が許可を得て、決まった場所での販売が義務付けられていました。

清代の塩政

1894年、日本の議会で清国からの塩の高価格が問題視され、清国の塩田の競争力が優れていることが報告されました。この希有な状況は日本における製塩業の近代化を促進させ、1896年には大日本塩業協会が設立されるなど、外交政策や経済戦略に影響を与えました。

近代の塩政

中華民国では、1913年に塩政改革が進められ、税率が均一化される法律が施行されました。これにより、製塩業者に対する規制や私塩の取り締まりが強化され、塩税からの税収が改善されました。

脚注

• - 佐伯富「塩と中国社会」第1（『中国史研究』、1943年）
• - 佐伯富著『中国塩政史の研究』（法律文化社、1987年） ISBN 4589013371
• - 藤井宏「明代塩場の研究」（『北海道大学文学部紀要』1・3、1952年・1954年）

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