中国大陸におけるウィキペディアへのアクセス封鎖

中国大陸におけるウィキペディアアクセス封鎖について

中国大陸では、ウィキペディアやその関連サイトへのアクセスが厳しく制限されており、これは中華人民共和国における情報統制の一環とされています。特に香港やマカオを除いた大陸では、インターネットサービスプロバイダ（ISP）がウィキメディア財団のサイトへのアクセスを意図的に遮断しています。この封鎖は、中国国内で自由な議論が行われることを防ぐ目的があります。

封鎖の経緯

ウィキペディアへのアクセス封鎖は2004年に始まり、その後少なくとも7回のアクセス制限が行われました。この問題が特に注目を集めたのは、北京オリンピック直前の2008年7月末に一時的に封鎖が解除されたことですが、その後再び制限がかかることが多く、2015年5月19日以降は根本的なアクセス不能の状態が続いています。

大陸に住む一部のネットユーザーは、様々な手段を駆使してこの封鎖を回避することが可能ですが、大多数の一般ユーザーは容易にウィキペディアにアクセスすることができません。そのため、中国語版のウィキペディアの編集は、台湾、香港、マカオやその他の国に住む中国人によって主に行われています。

情報の流通と検閲

ウィキペディアに掲載されている内容の中には、中国政府に対して影響を与えないようなものも多く、こうした情報は百度百科などの他のサイトに転載されて利用されることが一般的です。これは、中国国内での情報流通が厳しく制限されていることからくる、いわば検閲とも言えます。特に、2015年12月4日以降は、多くの言語版が遮断され、中国語のさまざまな方言も含まれていますが、贛語版やチベット語版、一部の南方言については未だアクセスが可能です。

現状と展望

2017年12月28日からは、日本語版ウィキペディアのデスクトップバージョンも遮断されました。さらに、2019年4月23日からは、ウィキメディア・コモンズを含む全言語版のウィキペディアは中国大陸で全面的に遮断されています。ウィキメディア財団は、さらなる情報の自由な入手の権利を訴える一方で、当局からの通知がないことへの疑問を表明しています。

国際的には、「国境なき記者団」が発表した2019年度の「世界報道自由度ランキング」で、中国は180カ国中177位という厳しい評価を受けています。この結果は、中国のネット検閲の厳しさと、情報自由に対する国の姿勢を如実に表しています。私たちは、今後の情報アクセスの自由化に期待を寄せつつ、引き続きこの問題に注目していく必要があります。

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