中国＝ネパール国境

中国＝ネパール国境の概要

中国＝ネパール国境、または中尼国境は、中華人民共和国のチベット自治区とネパールとの間に位置する、全長約1389キロメートルの国境線です。この国境は、世界最高峰のエベレストを含むヒマラヤ山脈に沿って、北西から南東へと伸びています。

歴史的変遷

この国境は、1949年のチベット併合など、歴史的な出来事とともに変化を遂げてきました。1956年の「中華人民共和国とネパール王国との間の友好関係維持に関する協定」、1960年の「中国ネパール平和友好条約」によって、ネパールはチベットを中国の一部として正式に承認し、現在の国境が確定しました。

国境の位置

国境は、西はスドゥパシュチム州のティンカル峠付近にあるインドとの三国国境から始まり、南東のウライ峠まで続きます。そこからカルナリ川に沿って北東に進み、ラブチェ峠で南東に向きを変えます。その後、エベレスト、マカルー、ガネッシュIII峰などのヒマラヤ山脈の山々、マンジャ峠、タウ峠、マリマ峠、ピンドゥ峠、ギャラ峠、ラジン峠、ポプティ峠などの峠を通過し、東の終点であるインドとの三国国境、ジョンソン・ピークに至ります。

国境線の画定

かつてこの地域は、ネパール、インド、チベットの各王国間で明確な国境線が画定されておらず、長らく「国境地域」として存在していました。ネパールとチベットの間では、羊毛、茶、香辛料、塩などの貿易が何世紀にもわたって行われてきました。18世紀から19世紀にかけて様々な条約が結ばれましたが、これらは正確な国境線を定めるものではなく、曖昧な領土の所有権に関するものでした。

1950年から51年にかけて中華人民共和国がチベットを併合し、この混乱した状況が引き継がれました。1960年3月21日、両国間で国境条約が締結され、「伝統的な慣習上の線」を認め、より正確な国境線を定めるための合同国境委員会が設置されました。1961年10月5日には最終的な国境条約が締結され、現地に国境標識を設置し、1963年1月23日に最終議定書が締結されました。

国境問題

ネパールと中国の間には、国境を巡る大きな争いはありませんが、中国・ネパール・インドの三国国境については、ネパールとインドの間で領土問題が存在します。2015年には、インドと中国がリプレケー峠を経由して貿易を行う合意に対し、ネパール議会が「紛争地域におけるネパールの主権的権利を侵害する」と異議を唱えました。ネパールは、この問題をインドとの外交手段で解決しようとしました。

また、国境のさまざまな場所で多くの領土問題が主張されており、2021年9月にはネパール政府が調査チームを派遣し、フムラ郡での紛争を調査しました。この調査チームは、主張が真実であると結論付け、紛争解決のための合同部隊の創設を提案しました。

国境通過点

2012年、ネパールと中国は新たな国境検問所（口岸）の開設に合意し、合計6つの公式な口岸を持つことになりました。そのうち3つの口岸は両国国民のみが通行可能ですが、他の3つは外国人にも開放されています。

中尼公路のダム鎮とコダリの間の口岸（ダム口岸）は、1968年から運用されています。ラスワガディの国境通過点は、2014年に商業用に、2017年からは外国人にも開放されました。この国境通過点には、両国を結ぶ鉄道の敷設が検討されています。

その他の国境通過点では、西側の三国国境近くのプラン/ヒルサなどの通過点が、広くアクセスできないものの、長年にわたって中国とネパールの間のローカルな貿易に利用されてきました。これらの通過点は、地元の貿易にとって非常に重要であり、2008年の北京オリンピック開催中に中国が国境管理を強化した際には、貿易が途絶え、キマサンカの村などで食料不足が発生しました。歴史的には、ムスタンとチベットの間のコラ峠など、さらに多くの国境通過点がありましたが、1960年代に閉鎖されました。現在、コラ峠は年に2回開催される国境を越えた市が開かれる際に、地元商人に対してのみ開放されています。

まとめ

中国とネパールの国境は、ヒマラヤ山脈という自然の障壁によって形成され、歴史的な経緯や国境問題を抱えながらも、両国間の重要な接点となっています。今後、国境通過点の整備や貿易の促進などを通じて、両国間の関係がより発展していくことが期待されます。

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