中埠頭車両基地

神戸市中央区に所在する、神戸新交通のポートアイランド線において、唯一の車両基地としての役割を担う施設です。検車第1区とも称されます。この基地は、列車の検査から大規模な修繕に至るまで、ポートアイランド線で使用される全ての車両を一元的に管理し、保守を行う拠点となっています。

概要

中埠頭車両基地は、ポートアイランド線の南公園駅東側に位置しています。基地への出入庫に使用される2本の線路は、中埠頭駅の2番線に直接接続しています。構内には、車両の整備を行う工場と各種検査を実施する検査場が併設されており、これらの機能から「ポートアイランド線車両基地」と呼ばれることもあります。基地内での車両の操作や入換は、工場や検査場への出し入れを除き、高いレベルで自動化されています。操車扱い所では、担当者が目的の場所を指定するだけで車両が自動的に移動する仕組みとなっており、さらに神戸新交通本社ビル内の総合司令所から遠隔での操作も可能です。

毎年11月上旬頃には、「ポートライナーフェスティバル」が開催され、この車両基地が一般公開される貴重な機会が設けられています。

各施設

検車場

車両の定期的な検査のうち、月検査や列車検査を担当する施設です。延床面積は3,448平方メートルを有しています。建物内部には、月検査用の線路が1本、列車検査用の線路が2本、そして臨時の検査に対応するための臨検線が1本敷設されています。臨検線には、新交通システム特有の設備として、車両のタイヤ交換を容易にするジャッキや、メンテナンス時に必要となる可倒式の案内軌条が備えられています。建物外部には、自動洗浄機と手洗いが可能な洗車台を備えた洗浄線が1本、試運転を行うための試走線が1本、そして通常の車両留置に使用される留置線が5本あります。洗浄線、試走線、留置線はいずれも、6両編成の車両を2本縦に並べて留置できる十分な長さを確保しています。

車両工場

車両の最も重要度の高い検査である全般検査と重要部検査を担当しています。延床面積は3,186平方メートルです。工場内部には、可倒式案内軌条と、台車の抜き取り作業を行うための装置を備えた工場線が敷設されています。工場内は、車両の各部分を専門的に扱う職場に分かれており、艤装（ぎそう）職場、空調関連を扱う空装職場、回転機器職場、台車職場、電気関連を扱う電装職場などがあります。これらの作業を支援するため、12トン、2.8トン、1トンの天井走行クレーンが合計4基設置されています。これらの業務の一部は、協力会社である川崎車両グループの川重車両テクノと、JR西日本テクノス（台車整備）に委託して実施されています。

出入庫検査場

車両基地の出入庫線に隣接して設けられており、車両が基地に入る際に行われる入庫検査と、基地から出発する際に行われる出庫検査を担当します。延床面積は1,119平方メートルです。建物内部には、これらの検査を行うための出入庫検査線が3本敷設されています。

作業車車庫

敷地の南側に位置しており、車両基地内で使用される作業車を収容するための車庫線が2本あります。この作業車車庫内には、後述する保存車両も保管されています。

配置車両

現行配置車両

神戸新交通2000型電車: 2005年（平成17年）11月から搬入が開始されました。現在、1次車が18両、2次車が84両の合計102両が配置されています。
神戸新交通2020型車両: 2016年（平成28年）1月に最初の編成が搬入されました。現在12両が配置されており、この車両の導入によって、中埠頭車両基地の最大収容両数は114両に達しています。

過去の配置車両

* 神戸新交通8000型電車: 1980年（昭和55年）4月に最初の編成が搬入され、合計72両が配置されていました。ポートライナーの開業当初から活躍しましたが、2009年（平成21年）をもって営業運転を終了しました。その後、2000型2次車の新造が進むにつれて、順次廃車されました。

保存車両

過去に活躍した神戸新交通8000型電車の一部が、この基地内で保存されています。トップナンバー編成の先頭車であるKNT-8101と中間車のKNT-8201の2両のみが、現在も静態保存されています。これらの保存車両は通常、作業車車庫内の関係者以外立ち入り禁止の場所に保管されており、一般公開はされていません。車両の観覧や車内への立ち入りが許可されるのは、例年10月14日の「鉄道の日」に合わせて開催されるイベント時のみとなっています。

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