中大阪朝鮮初級学校

中大阪朝鮮初級学校の概要

中大阪朝鮮初級学校（なかおおさかちょうせんしょきゅうがっこう）は、大阪市の東成区に所在し、学校法人大阪朝鮮学園が運営していた朝鮮学校です。この学校は、日本の小学校や幼稚園に相当する教育を提供していましたが、学校教育法に基づく正式な校ではなく、各種学校として位置づけられていました。2021年度を最終年度として、生野朝鮮初級学校と統合し、廃校の運命を迎えました。

沿革の概略

本校の歴史は、前身となる東成朝鮮学園や大阪市立西今里中学校の設立にまで遡ります。太平洋戦争が終結した1945年には、全国各地で朝鮮人児童に民族教育を行う学校が開設され、その流れの中で1945年10月には国語講習所が東成区に設立されました。1946年には、森町・東中本・大成通・大今里の4ヶ所に初等教育機関が設立され、1948年にはこれらの学校が統合されて東成朝鮮学園初等学校と中学校が成立しました。

しかし、同年10月19日には朝鮮学校閉鎖令の影響を受け、東成朝鮮学園は一時閉鎖を余儀なくされました。その後、1950年4月に関係者の活動によって、条件付きで大阪市立本庄中学校西今里分校として再開され、同年7月から授業が再開されています。その後、1951年5月には独立した学校となり、大阪市立西今里中学校（通称：西今里朝鮮中学校）と呼称されるようになります。

学校の運営と教育

西今里中学校は、教員の配置や教育資源が市から提供される一方で、教員の給与負担が大阪府の教育委員会によって行われるなど、独自の運営体制を持っていました。1970年代に入ると、北朝鮮への帰国の流れが加速し、民族教育が重視されるようになり、入学希望者が急激に増加しました。この頃には、民族教育を主体とした学校としての役割が強化されていくことになります。

1960年には地域の変化に応じた教育方針の見直しが進み、自主学校としての運営が決定されました。1961年9月1日には自主学校として改編され、中大阪朝鮮初中級学校が設立されます。また、同年の9月には、過密化を解消するために東大阪朝鮮中級学校が開校されました。

最近の状況と移転問題

中大阪朝鮮初級学校は、2006年に中級部を廃止し、単に初級学校として名称を改めましたが、校地問題も抱えることとなりました。大阪市は、学園に無償で貸与していた土地について、2012年以降、有償化として協議を進めましたが、交渉は難航しました。2014年には市から訴えを受けることになり、廃校の流れにつながっていきました。

2021年度には、生野朝鮮初級学校と統合され、歴史の幕が下りることとなりました。最終的には、中大阪朝鮮初級学校は、様々な困難を乗り越えながら長きにわたり地域に根ざした教育機関としての役割を果たしてきたのです。

もう一度検索