中央映画認証委員会

中央映画認証委員会（CBFC）

中央映画認証委員会（ちゅうおうえいがにんしょういいんかい、Central Board of Film Certification）は、インドの情報・放送省に属し、映画の検閲及び評価を行う組織です。1913年に初めて製作されたインド映画『ハリシュチャンドラ王』以降、イギリス統治下のインドで映画映写法が制定され、1918年から映画に対する検閲が始まりました。

歴史的背景

映画の規制は、当初は地域ごとに成立した検閲委員会によって行われていました。これらはマドラス、ボンベイ、カルカッタ、ラホール、ラングーンに拠点を置いており、地域の警察署長の管轄下にありました。その後、インドが独立を果たすと、ボンベイ映画検閲委員会が各地域の委員会を統括する形となりました。

1952年に映画映写法が改正され、これにより各地方の委員会が統合され、中央映画検閲委員会が設立されました。この機関は映画の監視を権限をもって一元的に実施するようになりました。1983年には再度の改正が行われ、名称が中央映画認証委員会に変更され、今日に至っています。

組織構成

中央映画認証委員会は、1名の委員長と、非公開に設定された25名の委員から成ります。すべての委員はインド政府によって任命されており、本部はムンバイに位置しています。また、全国各地に支部が設けられ、映画の認証を行っています。

映画の認証区分

映画は、認証の際に以下の4つのカテゴリーに分けられます。

1. U（全年齢対象）：家族向けの映画であり、主に教育的、ドラマティック、ロマンティックな内容が含まれることが許可されています。軽度の暴力描写や間接的な性描写も含まれます。

2. U/A（保護者の指導が必要な映画）：12歳未満の子供が保護者の指導の元で観賞できる映画です。中程度の暴力や性描写が許可され、恐怖を煽る要素も含まれることがあります。

3. A（成人対象映画）：非常に強い暴力やヌードなどが含まれ、若年層の観賞は推奨されません。社会的に議論を呼ぶテーマの映画が多いです。

4. S（特別な条件付き）：特定の専門家のみが観賞することが許可されている映画であり、一般の人々は視聴できません。

トラブルと批判

中央映画認証委員会は、時に映画製作からの賄賂受け取りが指摘されるなど、批判に晒されています。「U」認証を得ることで娯楽税のこうした免除が得られるため、その影響力は大きいです。2002年には、映画『戦争と平和 非暴力から問う核ナショナリズム』の上映に際して、21シーンのカット要求がありましたが、製作者が法廷に提訴、勝訴した事例が生じました。また、その後の委員長が映画館での特定の作品の合法的な上映を提案したことで批判の的となり、辞任に追い込まれる事態もありました。

2014年には、CEOが賄賂を受け取っていたとして逮捕される衝撃的な事件があり、2015年には複数の映画に対する政府からの干渉の疑惑により、委員長が辞任せざるを得ない状況が生じました。これらの出来事は、中央映画認証委員会の権威に疑問を投げかけています。

まとめ

中央映画認証委員会は、インド国内での映画の認証と検閲において重要な役割を果たしていますが、その運営や決定には多くの課題や批判が伴っています。映画が持つ社会的影響力から、今もなお議論の的であり、その今後の運営が注目されます。

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