中央電視台電視文化センター火災

中国中央電視台電視文化センタービル火災

この火災は、2009年2月9日に中国中央電視台（CCTV）の本部ビルに隣接する電視文化センタービルで発生しました。旧正月を祝う花火が引き起こしたとされるこの大規模火災は、ビルをほぼ全焼させる深刻な被害をもたらし、一人の消防士が殉職、複数名が負傷しました。この出来事は、中国国内で大きな波紋を呼びました。

概要

火災発生当時、CCTVの新本部ビルは竣工を目前に控え、オランダの著名な建築家、レム・コールハース氏が率いる建築事務所OMAが設計を手掛けていました。火災に見舞われた電視文化センタービルも同じ設計チームによるもので、地上30階建て、高さ159メートルを誇る高層ビルでした。完成後は、「北京マンダリン・オリエンタルホテル」のほか、劇場やテレビ番組制作会社のオフィスが入居する予定でした。

2009年2月9日午後8時27分頃、新本部ビルからわずか200メートルほど北に位置するこの電視文化センタービルで火の手が上がりました。鎮火活動には、54台もの消防車が出動しましたが、火勢は衰えず、約6時間にわたって燃え続けました。燃え盛るビルからは、特に高層階で幾度となく爆発音が響き、炎が勢いよく噴き上がる様子が目撃されました。火災発生後、警察は周辺道路を封鎖したため、大勢の見物人や車両が集まり、現場周辺は一時的に激しい混乱状態に陥りました。最終的に、この火災により一人の消防士が命を落とし、7名が負傷するという痛ましい結果となりました。

火災の原因と捜査

この火災の直接的な原因は、旧正月を祝うために打ち上げられた花火がビルの屋上に落下し、引火したこととされています。消火活動を行った消防隊員は、火災現場となったビルの屋上から爆竹の燃えかすを発見しています。

火災発生翌日の2月10日夕方には、CCTVがこの火災に対する責任を認め、公式に謝罪しました。その後、北京市警察当局は2月12日、危険物を不適切に取り扱い混乱を招いた容疑で、CCTVの主任や花火製造会社の従業員ら計12人の身柄を拘束したと発表しました。その後の捜査を経て、2010年5月には、危険物事件誘発罪などで計21人に有罪判決が下され、中には工事事務所主任に対し懲役7年の判決が言い渡されるなど、厳しい処分が科されました。

火災が発生した2月9日は、旧正月から数えて15日目に当たる元宵節であり、北京市ではこの日まで花火の使用が許可されていました。市内各地で花火が打ち上げられる賑やかな夜でしたが、CCTV側と花火製造会社は、本来は警察と消防の許可が必須である、最も火薬量の多い「A類」に分類される花火を無許可で使用していたことが明らかになっています。

国内の反応

この大規模火災に対し、中国国内の主要メディアでは、詳細な報道、特に写真や動画を含むものは極めて限定的でした。しかし、インターネット上では状況が一変します。ポータルサイトの個人ブログや動画共有サイトなどを通じて、現場を目撃した一般市民がデジタルカメラや携帯電話で撮影した夥しい数の写真や動画が瞬く間に拡散しました。

インターネット上の反応は、CCTVに対する皮肉や批判的な意見が大部分を占めました。これは、前年にCCTVで発覚した番組偽装事件などが背景にあったと考えられています。ネット上で広まった火災現場の画像は、「草泥馬」と呼ばれる架空の動物や、なぜか日本の特撮キャラクターであるゴジラ、アニメのガンダムなどとコラージュされ、CCTVに対する揶揄や批判を表現する形で加工されて流通しました。その後、CCTVも事態の深刻さを認め、正式に謝罪を行ったことで、メディアによる報道も本格的に行われるようになりました。

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