中将姫誓願桜

中将姫誓願桜について

中将姫誓願桜（ちゅうじょうひめせいがんざくら）、または単に誓願桜として知られるこのサクラは、岐阜県岐阜市に位置する願成寺の境内に生育しています。この樹種の学名は Cerasus jamasakura ‘Floridula’ であり、実はヤマザクラが突然変異を遂げて生まれた珍しい八重咲きの栽培品種です。岐阜県に生息するサクラの中で、自然交配によって誕生した唯一の存在として知られており、1929年には国の天然記念物に指定されました。

この桜の名は、奈良時代に生きた中将姫に由来しています。中将姫は、歴史的な伝説や神話に登場する女性で、彼女にちなんで命名されました。桜の樹高は亜高木に分類され、特徴的な盃状の樹形を持ちます。また、淡紅色の小さな花弁を持つ20から30弁の花を豊かに咲かせるのが大きな魅力です。東京では花期が4月の中旬に訪れ、見事な花を観賞することができます。

願成寺にある中将姫誓願桜は、樹齢が1,200年以上に達していることでも注目されています。この桜には、中将姫が継母からの迫害を逃れ様々な地域に逃げ回った末、病に倒れた際に願成寺の観音菩薩に祈願したところ回復した、という伝説が伝えられています。その後、中将姫が女性の加護を願ってこの桜を植えたとされています。現在でも、この桜に祈ると女性の病に対し効果があるとされています。

樹の高さは2017年には8.1メートル、幹の太さは150センチメートルに達していることが記録されています。また、2008年には、有人宇宙システム株式会社のプロジェクトにより、このサクラから採取された265個の種が国際宇宙ステーションに運ばれました。そこで8か月半過ごした後、2009年7月に地球に戻りました。この中から2つの種が発芽し、史上初の実生として育成されました。中でも1つは2014年に植え付けられ、短期間で花を咲かせたため、特異な現象が報じられました。

さらに、2017年2月には中将姫にゆかりのある奈良県の當麻寺中之坊に、原木から接ぎ木した苗が植樹され、岐阜県以外で初めてのセイガンザクラの植樹となりました。中将姫誓願桜は、その特異な起源や歴史的背景から、多くの人々の関心を集めており、地域の人々にとっても特別な存在となっています。今後の成長と発展が期待されるこの桜は、歴史を感じさせる貴重な植物として、後世に伝えられていくことでしょう。

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