中尾睦

中尾睦（なかお むつみ）

中尾睦（1962年12月8日 - ）は、日本の財務官僚。福岡国税局長や横浜税関長を歴任した。

経歴

兵庫県神戸市出身。灘高等学校を経て、1985年3月に東京大学法学部を卒業。同年4月、大蔵省に入省し、国際金融局調査課に配属された。1990年7月には高松国税局八幡浜税務署長に就任。

2001年には英国王立国際政治経済研究所研究官を務め、2004年7月に三重県総務局長、2006年4月には三重県総務部長に就任した。

2013年6月28日、内閣官房内閣審議官に就任し、行政改革推進本部国家公務員制度改革事務局次長などを兼務。2014年7月4日には福岡国税局長に就任した。

森友学園問題

2015年7月7日、財務省理財局次長に就任。この時期に、森友学園をめぐる問題が表面化する。

2016年6月20日、財務省近畿財務局が森友学園との間で豊中市の国有地売買契約を締結。売却金額は非公開とされた。

2017年2月、朝日新聞が国有地払い下げ問題について報道。安倍昭恵が名誉校長を務める小学校の建設予定地であること、森友学園に有利な買い戻し特約が付いていることなどが明らかになった。安倍晋三首相は国会で、自身や妻が関係していれば総理大臣を辞任すると答弁した。

その後、国有地売却に関する決裁文書の改ざんが発覚。財務省は、安倍昭恵や鴻池祥肇の秘書らに関する記述を削除するよう指示した。文書からは、籠池泰典と日本会議との関係を示す記述も削除された。

2017年4月、中尾は国会で、佐川宣寿理財局長の答弁を事実上訂正する発言を行った。

市民団体からは、中尾ら財務省幹部が交渉記録を廃棄したとして告発状が提出された。同年7月、中尾は人事院に異動し、事務総局審議官に就任した。

2018年3月、近畿財務局の職員が自殺。同年5月、大阪地検特捜部は中尾ら財務省幹部を不起訴処分とした。財務省は調査報告書を公表し、中尾は戒告の懲戒処分を受けた。その後、検察審査会は中尾らについて「不起訴不当」と議決したが、大阪地検特捜部は再び不起訴処分とした。

2020年3月、『週刊文春』が赤木俊夫の手記を掲載。手記の中で赤木は、文書改ざんの指示は佐川理財局長によるものであり、中尾も処分を受けるべきだと訴えた。

2021年7月、財務省を退官。同年11月、東京海上日動火災保険顧問に就任。

その後

一連の森友学園問題では、国有地取引の不透明さや決裁文書の改ざんなど、行政の公正性に対する国民の信頼を大きく損なう事態となった。中尾はその渦中に身を置き、重要な役割を担った人物として、その責任が問われた。

もう一度検索