中山哲也

中山哲也：常識を覆す経営で躍進を続ける実業家

中山哲也氏は、1958年生まれの実業家であり、機械工具商社であるトラスコ中山株式会社の代表取締役社長を務めています。また、視覚障害者支援を目的とした公益財団法人中山視覚障害者福祉財団の理事長としても社会貢献活動に尽力しています。

経歴と経営哲学

近畿大学商経学部を卒業後、1981年に中山機工（現トラスコ中山）に入社。常務、専務を経て、1994年に社長に就任しました。「取捨善択」「唯一無似」「自覚に勝る教育無し」といった独自の経営哲学を掲げ、既存の枠にとらわれない経営手腕を発揮しています。

業界の常識を覆す経営戦略

中山氏の経営戦略の特徴は、顧客目線を重視した豊富な在庫数です。一般的に、売り手側は在庫を少なくすることを良しとしますが、中山氏は「買い手から見れば多い方が良い」と考え、業界屈指の在庫数を実現しました。これにより、注文から即日納品を可能にし、時間外労働の削減にも繋げています。

社員を大切にする制度

社員が安心して働ける環境づくりにも力を入れています。シングルマザーや託児所保育士、社内食堂の調理師を正社員として採用するだけでなく、社内副業制度、有給休暇の無制限積立制度（買取可能）、新社会人への支度金、不妊治療のための長期休暇、おしどり転勤制度など、ユニークな制度を次々と導入しています。

BtoBの枠を超えた取り組み

問屋でありながら、BtoBの枠を超えた取り組みも積極的に展開しています。Amazonなどのネット通販を通じて顧客に直接商品を届けるサービスや、MROストッカーと呼ばれる、顧客の生産工場内に頻繁に使用する商品を置く「置き工具」サービスなど、新たな試みに挑戦しています。

中山氏の語録

中山氏は、数々の名言を残しています。

「美味しいものを食べさせたいと思っている人に包丁を握らせる。愛情を込めて社員の健康を考える人に料理を作らせたい」
「経営として心配性は大事。成長著しい業界ではないから、その中で生き抜くには細心の注意を払う事が大事」
「考え事は山のようにあるけど、悩み事はゼロなんですよ。それは幸せなことだと思います」
「ROE（自己資本利益率）やROA（総資産利益率）といった流行の経営指標よりも、住宅メーカーなら住みやすい家、食品メーカーなら美味しいハンバーグなど、志を語るべき」
「SDGsの内容自体は良いことだが、施策を実行せずにバッジを付けるのはいかがなものか。企業はSDGsを免罪符にするのではなく、家庭排水など、私たち自身が環境破壊の加害者であることを認識すべき」
「減価償却が多い会社だが、その償却の多さが企業体力につながる」
* 「世帯主は正社員で雇う。企業は安心安定して働ける職場を提供し、結婚して所帯が持てる給料を払う義務がある」

カンブリア宮殿出演

2024年3月14日には、テレビ東京の経済番組「日経スペシャル カンブリア宮殿」にトラスコ中山社長として出演し、その経営哲学やビジネスモデルについて語りました。

中山哲也氏は、現状に満足することなく、常に新しい発想で企業を成長させ続ける、稀有な経営者と言えるでしょう。

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