中心体

中心体とは

中心体は、動物細胞に存在する主要な細胞小器官であり、微小管形成中心（MTOC; microtubule organizing center） としても知られています。植物細胞では中心体は見られず、微小管形成中心は細胞内に分散した多数の極性中心として存在します。

構造

中心体は、以下の構造を持っています。

中心粒（中心小体、中心子）：長さ0.4μm、9対の三連微小管が直径0.2µmの環状に配置されています。2個一組で、互いに直角に対向しL字型に配置されています。
中心体マトリックス：中心粒の周辺に存在する、光学的に明るく見える球状の構造です。γ-チューブリン環を含む中心体に特異的なタンパク質を含み、微小管形成中心としての機能を担う上で重要な部分と考えられています。

通常、中心体は核の近くに位置しています。

細胞分裂における役割

中心粒は細胞分裂に先立ち、S期頃に複製されて4つになります。細胞が分裂期に入ると、2つの中心粒からなる中心体が細胞の両極へ移動します。この際、各中心粒または中心体は、細胞分裂時に観察される星状体（aster）および紡錘体の極となります。

微小管形成中心としての機能

微小管は、そのマイナス（-）端を中心体に置き、重合の場であるプラス（+）端を細胞内の様々な領域に伸ばすことが一般的です。微小管の重合・伸長を抑制する脱重合剤で細胞を処理し、一時的に微小管を消失させた後、脱重合剤を取り除くと、新しい微小管は中心体から伸長して星状体を形成し、その後細胞全体へと広がっていきます。この現象から、中心体が微小管形成中心として機能していることがわかります。

中心体研究の重要性

中心体は、細胞の構造と機能において重要な役割を果たしています。その異常は、細胞分裂の誤りやがんなどの疾患につながる可能性があります。中心体の研究は、生命現象の理解を深めるだけでなく、疾患の治療法の開発にも貢献することが期待されています。

参考資料

* 中心体 - 脳科学辞典

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