中木健二

中木 健二

中木 健二（なかぎ けんじ）は、1982年に日本に生まれた、傑出した才能を持つチェロ奏者です。幼少期からチェロに親しみ、国内外で高度な音楽教育を受け、国際的な舞台で輝かしい実績を築いてきました。

経歴

3歳という早い年齢でチェロとの出会いを果たし、音楽の道を歩み始めました。愛知教育大学附属岡崎小学校、中学校で基礎を築いた後、日本の最高峰である東京芸術大学へ進学し、さらなる研鑽を積みました。大学卒業後、2003年にはフランスへ渡り、パリ国立高等音楽院のチェロ科に入学。同音楽院を2007年に卒業する際には、最高の栄誉であるプルミエ・プリ（一等賞）に加え、審査員特別賞を受賞し、その非凡な才能が高く評価されました。このフランス留学は、ロームミュージックファンデーションからの奨学金を得て実現したものです。

パリでの学びを終えた後も、探求心は尽きることなく、2009年にはスイスのベルン高等音楽院ソリスト・ディプロマコースも修了しました。また、2004年から6年間にわたり、イタリアのキジアーナ音楽院夏期マスタークラスにおいて、世界的に著名なチェリストであるアントニオ・メネセス氏の指導を熱心に受け、最優秀ディプロマを獲得するなど、常に自身の芸術性を磨き続けています。

これまでにチェロを久保田顕、林良一、河野文昭、向山佳絵子、フィリップ・ミュレール、アントニオ・メネセス各氏に、室内楽を松原勝也、岡山潔、ベルトラン・パスキエ、クロード・イヴァルディ、フランソワ・サルク、エマニュエル・ル・サージュ各氏といった国内外の偉大な音楽家たちに師事し、深い音楽的洞察力と高度な演奏技術を培ってきました。

国際的なキャリアとしては、2010年からフランス国立ボルドー・アキテーヌ管弦楽団の首席奏者を務めるなど、オーケストラの要としても活躍しました。2014年4月に日本へ帰国してからは、その活動拠点を日本に移し、ソリストや室内楽奏者としての演奏活動を本格的に展開しています。現在は、日本を代表する室内オーケストラである紀尾井シンフォニエッタ東京のメンバーとしても活躍しており、また、母校である東京藝術大学音楽学部で准教授として後進の指導にもあたっており、教育者としても音楽界に貢献しています。

受賞歴

若手時代から数々の国際コンクールで輝かしい成績を収めています。主な受賞歴は以下の通りです。

2005年：第5回ルトスワフスキ国際チェロ・コンクール第1位、ポーランド放送局賞、EMCY賞を受賞。同年、第16回FLAME音楽コンクール（フランス）でも優勝を果たしました。
2008年：第1回Note et Bien国際フランス音楽コンクールでグランプリを獲得し、さらにドビュッシー特別賞、ブーレーズ特別賞も受賞しました。
2009年：E.Tschumi音楽賞を受賞しました。
2010年：自身が参加するラファエル弦楽四重奏団として、ボルドー国際弦楽四重奏コンクールで第2位に入賞しました。

これらの受賞は、彼の才能と努力が国際的に認められた証であり、その後のキャリアを力強く後押ししました。

録音

積極的な録音活動も行っており、これまでにキングレコードから複数のアルバムをリリースしています。

「美しき夕暮れ」（2013年10月）
「J.S.バッハ：無伴奏チェロ組曲全曲」（2016年11月） - この録音は「レコード芸術」誌において特選盤に選ばれ、高い評価を得ています。
* 「ラ・フォリア～狂気のチェロ」（2024年11月）

これらのアルバムを通じて、彼のチェロ音楽の世界を聴くことができます。

その他の活動

演奏や教育活動に加え、音楽祭の企画・運営にも携わっています。2016年からは毎年3月に山形県上山市で開催される「上山音楽祭 ル・シャトーかみのやま」で音楽監督および講師を務めており、妻であるピアニストの永田美穂とともに、公開レッスンやコンサートを行うなど、地域における音楽振興にも貢献しています。

使用楽器

現在、NPO法人イエロー・エンジェルより貸与されている、1700年製のヨーゼフ・グァルネリを使用しています。この名器から紡ぎ出される豊かな響きが、彼の音楽表現に深みを与えています。

輝かしい演奏家としてのキャリアに加え、教育者、音楽祭プロデューサーとしても活動する中木健二氏は、日本の音楽界において多角的に活躍する重要な存在です。

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