中村秀樹

中村秀樹：潜水艦のエキスパート、軍事史家としての生涯

中村秀樹（1950年8月6日 - 2018年12月10日）は、日本の元海上自衛官であり、最終階級は2等海佐。軍事史家としても知られています。福岡県出身の中村氏は、防衛大学校を卒業後、海上自衛隊に入隊し、潜水艦幹部として長年にわたり勤務しました。

海上自衛官としての経歴

1974年、防衛大学校（18期）を卒業後、海上自衛隊に入隊。初期は護衛艦勤務を経験した後、潜水艦のエキスパートとしてのキャリアを築き始めました。

潜水艦「おおしお」では機関士、船務士、水雷士を歴任し、その後「やえしお」では水雷長、「もちしお」では船務長を、さらに「たかしお」では副長を務めました。「あらしお」では艦長を務めるなど、潜水艦の様々なポジションでその能力を発揮しました。潜水艦勤務の傍ら、海幕技術部、護衛艦隊幕僚、情報本部分析官、幹部学校教官などを歴任。2005年に防衛研究所戦史部を最後に2等海佐で退官しました。

退官後の活動

退官後、5年間の豪州パースでの生活を経て、福岡に戻り、著述や講演活動を開始しました。潜水艦に関する深い知識と経験を活かし、数々の書籍を執筆しました。その著作は、専門家からも高く評価され、一般の読者にも広く読まれています。

著書一覧

中村氏の著書は、潜水艦戦術や日本の防衛問題に関するものが多く、その専門性と独自の視点が評価されています。代表的な著書は以下の通りです。

『本当の潜水艦の戦い方 優れた用兵者が操る特異な艦種』(2006年)
『本当の特殊潜航艇の戦い その特性を封じた無謀な用兵』(2007年)
『これが潜水艦だ 海上自衛隊の最強兵器の本質と現実』(2008年)
『自衛隊が世界一弱い38の理由 元エース潜水艦長の告発』(2009年)
『尖閣諸島沖海戦 自衛隊は中国軍とこのように戦う』(2011年)
『第二次日露戦争 失われた国土を取りもどす戦い』(2013年)
『日韓戦争 備えなければ憂いあり』(2014年)
『潜水艦完全ファイル』(2015年)
『新説　ミッドウェー海戦』(2016年)
『日本の軍事力　自衛隊のほんとうの実力』(2017年)
『潜水艦　アジア有事の最終兵器』(2017年)

また、月刊『実業界』では「常在戦場」を24回にわたり連載しました。

監修

『日英蘭 奇跡の出会い－海に眠る父を求めて』(2007年)

死去

2018年12月10日、癌のため東京都内で逝去されました。その生涯は、海上自衛官としての職務と、軍事史家としての研究活動に捧げられました。中村氏の著作は、日本の防衛戦略を考える上で貴重な資料として、今後も読み継がれていくでしょう。

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