中村稔 (プロ野球審判)とは？意味をやさしく解説

中村稔：選手、審判、そして寮長

中村稔（なかむらみのる）は、1963年 12月11日生まれ、愛知県知立市出身の元プロ野球選手であり、後にプロ野球審判員としても活躍した人物です。現在は東北楽天ゴールデンイーグルスの選手寮長を務めています。彼の野球人生は、選手、審判、そして球団職員と多岐にわたります。

高校時代とプロ野球選手時代

名古屋電気高校時代、1981年の第63回全国高等学校野球選手権大会に主将兼1番・遊撃手として出場。3回戦の対北陽高校戦では、延長12回裏にサヨナラ本塁打を放ち、チームを勝利に導きました。チームは準決勝で敗退したものの、その活躍は注目を集めました。同期には工藤公康、山本幸二、1学年後輩には高橋雅裕、2学年先輩には鴻野淳基といった、後にプロ野球界で活躍する選手たちがいました。

同年秋のドラフト会議で、中村は日本ハムファイターズから3位指名を受け入団します。主に二塁手としてプレーしましたが、当時の日本ハムの二塁手には菅野光夫、岩井隆之、白井一幸、五十嵐信一といった実力者がひしめいており、一軍での出場機会は限られました。1984年には5試合に出場したものの、1986年シーズン限りで現役を引退しています。

プロ野球審判員としての活躍

引退後、中村はすぐにパ・リーグ審判部に入局し、1989年に審判として一軍デビューを果たしました。同年10月12日には、西武対近鉄のダブルヘッダー第2試合で、近鉄のラルフ・ブライアントが4打数連続ホームランを記録した試合で三塁塁審を務めていました。1997年には日本シリーズに初出場し、その後も多くの試合で重要な役割を担いました。

2004年には審判部副部長に就任し、2009年5月6日にはパ・リーグ史上27人目となる通算2000試合出場を達成。さらに2014年5月15日には、NPB審判員史上39人目の通算2500試合出場を達成しました。オールスターゲームには5回、日本シリーズには13回出場し、球審も多数務めています。

選手会が選ぶ「ベストアンパイア」では、2004年から2006年までパ・リーグ部門で3年連続1位に選ばれており、選手からの信頼も厚いことがうかがえます。また、2009年にはワールド・ベースボール・クラシックの審判員としても派遣され、国際舞台でも活躍しました。

2016年シーズンからはクルーチーフを解かれましたが、2018年シーズンをもって審判を退き、日本野球機構を退職しました。

東北楽天ゴールデンイーグルスでの新たな挑戦

2019年以降、中村は現役時代から交流のあった長島哲郎からの要請を受け、東北楽天ゴールデンイーグルスの球団職員として、選手寮「泉犬鷲寮」の寮長を務めています。NPBの審判経験者が球団の選手寮の寮長に就任したのは、岩本信一に次いで2人目ですが、球団職員として採用されたケースは中村が初めてです。

エピソード

中村は、2005年6月2日のセ・パ交流戦で、高校時代のチームメイトである工藤公康が先発した試合で球審を務めました。また、工藤がセ・リーグ史上最高齢勝利記録を達成した試合でも球審を務めており、二人の深い絆が垣間見えます。

また、肌寒い時期でも半袖シャツで試合に出場することが多く、長袖アンダーシャツの上に半袖シャツを着用するという珍しいスタイルで球審を務めることもありました。日本シリーズでは全試合半袖シャツで球審を務めています。

2007年9月11日の試合では、アウトの判定を巡って監督が猛抗議する場面がありましたが、後に審判部のミスが認められ謝罪しました。また、2008年の日本シリーズでは、きわどい判定を巡って議論を呼びました。

フィールドシートの近くで三塁塁審を務める際は、ファウルボールを観客席に投げ入れるなど、観客へのサービス精神も旺盛でした。

2010年の日本シリーズでは、場内アナウンスのミスを指摘し訂正させる場面もありました。2016年には、誤審を連発したとして球団から意見書が提出されたこともあります。

日本ハムの選手時代には、ロッテの長島哲郎からの死球で顎を骨折し、その際に長島が見舞いに来たことがきっかけで親交を深めました。その長島からの要請で楽天の寮長に就任したことは、彼の野球人生における大きな転機となりました。

詳細情報

年度別打撃成績

（省略）

背番号

32（1982年 - 1986年）

審判出場記録

- 初出場：1989年4月15日、ロッテ対近鉄3回戦（川崎球場）、右翼外審
- 出場試合数：2876試合（パ・リーグ2322、セ・リーグ236、交流戦222、日本シリーズ53、オールスター10、クライマックスシリーズ33）
- オールスターゲーム出場：5回（1993年、1998年、2003年、2012年、2018年）
- 日本シリーズ出場：13回（1997年、1999～2010年）

（記録は2018年シーズン終了時）

脚注