中村誠 (グラフィックデザイナー)

中村誠（なかむら まこと）のプロフィールと業績

中村誠は、1926年5月9日に岩手県盛岡市で生まれ、2013年6月2日にこの世を去った日本のグラフィックデザイナーです。彼は千葉工業大学の教授としても知られ、特に資生堂のアートディレクターとしての業績が評価されています。

来歴

中村の家族は「中村ゴム店」を営んでおり、彼は盛岡商業学校（現在の岩手県立盛岡商業高等学校）で学びました。戦争という厳しい時代背景の中、短い人生の中で自分の好きなデザインの道を選ぶ決意をし、東京美術学校（現・東京芸術大学）デザイン科に進学。1948年に卒業します。
学生時代から資生堂の広告やPR誌『花椿』に魅了され、アルバイトとして同社宣伝部に参加。山名文夫の影響を受けて、彼の作品集の編集・刊行にも関与しました。

1949年には正式に資生堂に入社し、アートディレクターとして活躍します。1969年には宣伝部制作室長に就任し、その後、1977年から1979年にかけて宣伝部長を務め、1987年から2000年には顧問として活動しました。加えて、国際グラフィック連盟（AGI）の会員、東京ADC委員、JAGDA理事なども務めました。

宣伝担当としての功績

中村は、広告デザインにおいて数々の賞を受賞しています。特に1963年には資生堂の海外向け企業ポスターで日宣美会員賞を受賞。1966年には、日本企業初のハワイロケで制作された「ビューティケイク」のキャンペーンポスターが大変な評判を呼び、海外旅行ブームを引き起こしました。このポスターでは前田美波里が起用され、石岡瑛子がデザインを手掛けています。また、山口小夜子を起用した一連のポスターでは、日本の美を大胆に表現し、広く注目を集めました。

1972年には、グラフィックトライアルとして「江戸小紋と北斎」の作品も手掛け、広告のみならず多様なデザインに挑戦しました。1976年、ネイルアートのポスターでワルシャワ国際ポスタービエンナーレの金賞を受賞するなど、彼の作品は国内外で高く評価されました。

退社後の活動

資生堂を定年退職後、中村はフリーのグラフィックデザイナーとして活動を再開します。1995年には「写楽生誕200年祭」のポスターを手がけ、2001年のJAGDAポスター展ではグランプリを受賞しました。また、1993年には紫綬褒章を受賞し、多くの広告賞も受けるなど、その活躍は続きました。彼の長男である中村成一は、カメラマンとして活動しています。

著書・作品集

中村誠は、以下の著書や作品集を残しています。

• - 「中村誠の仕事」（講談社）
• - 「江戸小紋と北斎」
• - 「モナリザ百微笑」（ウナック・トウキョウ）

彼の独自の視点とデザインに対する情熱は、今日でも多くの人々に影響を与える存在となり続けています。

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