中松澗之助

中松澗之助

中松澗之助（なかまつ かんのすけ、1895年11月1日 - 1973年3月20日）は、日本の弁護士、弁理士であり、日本の知的財産権制度の発展に大きく貢献した人物です。

略歴

1895年（明治28年）11月、中松盛雄の長男として生まれました。1921年（大正10年）3月に京都帝国大学法学部英法科を卒業後、東京帝国大学大学院に進学し、産業法を専攻しました。大学院在学中に弁護士・弁理士の資格を取得し、法曹界への道を歩み始めます。

1946年（昭和21年）には、父である盛雄が開設した中松特許法律事務所の代表に就任し、特許・商標などの知的財産権に関する業務に携わりました。その専門性と手腕により、事務所は発展を遂げ、多くの企業の知的財産戦略を支援しました。

1963年（昭和38年）には、国際工業所有権保護協会（AIPPI）日本部会の第2代会長に就任し、国際的な知的財産保護活動にも積極的に参加しました。AIPPI日本部会では、国際会議の開催や海外の知的財産制度の研究などを推進し、日本の知的財産制度の国際的な調和に貢献しました。

1966年（昭和41年）には、日本弁護士連合会の第17代会長に就任し、弁護士制度の改革や弁護士の地位向上に尽力しました。会長在任中は、弁護士の倫理向上や研修制度の充実などにも取り組み、弁護士の質の向上に貢献しました。

中松の功績を記念して、日本国際知的財産保護協会（AIPPI日本）は1996年（平成8年）にAIPPI中松記念スカラーシップ（中松澗之助スカラーシップ）を設立しました。このスカラーシップは、知的財産分野の研究者を支援することを目的としており、次世代の知的財産専門家の育成に貢献しています。

人物

中松は和歌山県士族の家柄であり、趣味は運動、音楽、旅行と多岐にわたりました。また、キリスト教を信仰していました。

詩人で弁護士の中村稔は、中松のもとで勤務していたことがあり、後に中松特許法律事務所の後身である中村合同特許法律事務所の代表となっています。

家族・親族

父の盛雄（1865年 - 1952年）は、官僚、弁護士、弁理士であり、特許局（現在の特許庁）長を務めました。妻の皆（1904年 - ?）は、納村章吉の二女です。

著書

『国際工業所有権法の諸問題 - 故中松澗之助先生追悼論文集』国際工業所有権保護協会日本部会、1976年。

参考文献

人事興信所編『人事興信録 第13版 下』人事興信所、1941年。
* 人事興信所編『人事興信録 第14版 下』人事興信所、1943年。

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