中澤不二雄

中澤不二雄：日本の野球史に名を刻んだ男

中澤不二雄（1892年-1965年）は、滋賀県出身の野球選手、監督、解説者、そしてパシフィックリーグ元会長として、日本の野球界に多大な貢献を果たした人物です。選手としては名遊撃手として知られ、監督、解説者としてはその手腕を発揮。さらに、パシフィックリーグの発展にも大きく寄与しました。その生涯は、日本の野球の歴史そのものを映し出しています。

明治大学からプロ野球へ

神戸中学校、荏原中学校を経て明治大学に進学。在学中は野球部に所属し、卓越した才能で頭角を現しました。1913年には、現在のアジア競技大会の原型となる「極東オリンピック・マニラ大会」の日本代表に選出。名遊撃手として活躍し、国際舞台での経験を積みます。

大学卒業後は造船会社に就職しますが、野球への情熱は消えることはありませんでした。1922年には、翌年のプロ野球球団設立を宣言した天勝野球団に参加。その後、満洲鉄道株式会社（満鉄）に就職し、大連満洲クラブでプレイングマネージャーとして活躍しました。選手としてプレーする傍ら、チームを率いる監督としての役割も担い、組織運営能力も磨いていきます。

戦後の活躍とパシフィックリーグ会長

第二次世界大戦後、中澤氏は野球解説者としての道を歩み始めます。1951年には新日本放送（現・毎日放送）のラジオ中継、1953年からは日本テレビ放送網のプロ野球解説者として活躍。明晰な解説と深い野球知識で、多くの視聴者・聴取者から支持を集めました。

1959年には、パシフィックリーグの専任会長に就任。これは、パシフィックリーグにおける初めての専任会長でした。同年には、昭和天皇・皇后の御前で解説を務めるという栄誉にも浴しています。

多彩な活動と野球殿堂入り

解説者としての活動に加え、中澤氏は司会業や執筆活動にも精力的に取り組みました。ミユキ野球教室の初代司会を務めた他、『ぼくらの野球』、『プロ野球』など、数多くの野球関連書籍を出版。後世の野球人育成にも貢献しました。

これらの功績が認められ、2002年には野球殿堂特別表彰者に選出されました。選手、監督、解説者、そしてリーグ会長として、日本の野球界に多大な足跡を残した中澤不二雄。その生涯は、日本のプロ野球発展の歴史と深く結びついています。彼の功績は、これからも野球ファンの記憶に刻まれ続けることでしょう。

著書一覧

『ぼくらの野球』山の木書店 1948
『プロ野球』旺文社スポーツ・シリーズ 1953
『これが野球だ 監督の作戦・選手の心理』光文社カッパ・ブックス 1960
『少年少女体育全集 野球』吉崎正巳絵 ポプラ社 1960
『野球の図鑑』小島直 等絵 講談社の学習大図鑑 1960
『ベーブ・ルース』編 霜野二一彦絵 小学館 ジュニア版伝記全集 1963
『プロ野球 遺稿』オリオン社 1965

出演番組

MBSベースボールパーク - 毎日放送（MBSラジオ、旧・新日本放送）
* DRAMATIC BASEBALL - 日本テレビ放送網

もう一度検索