中義勝

中義勝の生涯と業績

中義勝（なか よしかつ）は、1921年8月25日に大阪府に生まれ、1993年10月28日に亡くなった日本の法学者です。彼の専門分野は刑法であり、その理論と実践に多大な影響を与えました。

学問の道

1946年に、関西大学法文学部を卒業した後、同じく関西大学で法学部教授として教鞭を取ることになりました。中は自身の教育活動を通じて多くの学生に影響を与え、刑法の重要性を広めることに尽力しました。彼はまた、関西大学の学長も務め、学界における傑出した存在として知られました。彼の恩師である植田重正の影響を受けつつ、独自の研究を深めていったのです。

主な業績

中の出世作である『輓近錯誤理論の問題点』（1958年）では、この理論の含む問題点を提起し、学界における議論の火種を提供しました。さらに、1963年には『間接正犯』を著し、そこで通説として流布していた間接正犯の認定に否定的な見解を示しました。彼の鋭い批判は、刑法の解釈において重要な役割を果たしました。

1971年には『誤想防衛論』を発表し、団藤説に対する厳しい反論を展開しました。この著作は、中が持つ理論的根拠や法的判断に対する明快な視点を示すもので、多くの法曹関係者に影響を与えました。

主観的違法要素と間接正犯についての彼と中山研一との間で繰り広げられた論争は、日本の刑法学界で「中＝中山論争」として広く知られています。これは、双方の立場が明確であり、その後の研究や教育において重要な位置を占めることとなりました。彼の著作『刑法上の諸問題』（1991年）は、さまざまな刑法の問題について考察しており、現在でも多くの法学者に参照されています。

また、『講述犯罪総論』（1980年）は、刑法を学ぶ学生にとっての教科書的な役割を果たし、彼の教育理念が色濃く反映された作品です。

生涯の歩み

中義勝は、学生時代に学徒出陣として野砲兵第四連隊に入隊し、1945年に復員後は再び学問の道を歩み始めました。1949年に関西大学法学部助手を経て、1976年には同大学の学長に就任しました。1990年に定年退職した後も、1991年には福山平成大学の副学長に就任し、さらに学問に寄与しました。

彼の生涯は、刑法学の発展とその教育に捧げられたものであり、1993年に亡くなるまで、彼の存在は多くの人々に影響を与え続けました。その業績は今なお、法学界で輝きを放っています。

もう一度検索