中老

中老：戦国から江戸時代の武家役職

中老とは、戦国時代の大名や江戸時代の諸藩において存在した武家の役職、あるいは家格です。その役割や地位は時代や藩によって異なりましたが、家老を補佐する立場として、藩政に重要な役割を果たしていました。

中老の役割と地位

「国史大辞典」では戦国大名における職制の一つとして位置づけられていますが、江戸時代の藩政史料を見ると、中老職の設置時期や役割は藩によって大きく異なっていました。多くの藩では、江戸時代の中期以降に設置された例が多く、それ以前には存在しなかったケースも少なくありません。

中老の主な役割は、家老または家老相当職の補佐でした。家老の補佐役として、年寄や奉行と同様の役割を担うことが多く、家老になることができない家格の武士を藩政に参与させるための手段として活用されることもありました。また、優秀な年寄や奉行を家老に昇進させる前段階としての役職として位置づけられる場合もありました。

中老の席次は、基本的に番頭よりも上位とされていました。しかし、家老補佐としての奉行や年寄と併設されている藩では、中老とそれらの職との間の席次が藩によって異なり、一概に定めることはできません。

具体的な藩の例

いくつかの藩の事例を挙げ、中老の役割や地位について見ていきましょう。

柳河[[藩]]: 宝暦年間、立花鑑通によって家老の補佐役である奉行が中老に改称されました。この改称以降も、中老の役割や地位に大きな変化はなく、常置の役職として機能していました。後年には、役中老と本中老に分かれ、本中老が家老に近い立場となりました。

米沢[[藩]]: 宝暦元年（1751年）に家老の補佐役として中老職が設置されましたが、一時期廃止され、寛政年間に復活しています。米沢[[藩]]では、中老から家老に昇進する可能性がありました。

熊本[[藩]]・越後長岡藩: これらの藩では、中老は非常置の役職であり、江戸時代初期には存在しませんでした。熊本[[藩]]でも、中老から家老への昇進の可能性がありました。一方、長岡藩や柳河[[藩]]では、家老格止まりでした。

福岡[[藩]]: 福岡[[藩]]では、中老が最上級の家格とされていたものの、中老という役職は存在しませんでした。これは特殊な例と言えます。

中老の昇進可能性

中老の地位や役割は藩によって異なりましたが、中老から家老または家老相当職に昇進できる藩と、家老格止まりである藩が存在しました。米沢[[藩]]や熊本[[藩]]では、有能な中老は家老に昇進する可能性がありましたが、長岡藩や柳河[[藩]]では、中老が家老に昇進することはありませんでした。

まとめ

中老は、戦国時代から江戸時代にかけて存在した武家の役職・家格で、家老を補佐する役割を担っていました。その地位や役割、昇進の可能性などは、藩によって大きく異なっていました。本稿では、いくつかの藩の事例を挙げながら、中老の多様な側面について解説しました。中老という役職を通して、当時の藩政運営の一端を垣間見ることができるでしょう。

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