中華人民共和国のナンバープレート識別記号一覧

中華人民共和国のナンバープレート識別記号

1992年に制定された中華人民共和国（香港・マカオを除く）のナンバープレート制度は、複雑かつ多様な識別記号体系を用いています。本稿では、その詳細について解説します。

地域別識別記号

ナンバープレートは、まず地域を識別する漢字一文字で始まります。北京市であれば「京」、上海市であれば「滬」といった具合です。この漢字の後に続くアルファベットと数字によって、より詳細な情報が示されます。

直轄市

直轄市は、北京市（京）、天津市（津）、上海市（滬）、重慶市（渝）の4都市です。それぞれの市内で、市街地、郊外、特定の地域や機関に割り当てられた識別記号が使用されています。例えば、北京市では「京A」はかつて中心市街地用でしたが、現在は全域で「京A」、「京B」、「京C」などが使用され、「京AG+0、6+英数字3桁」は政府専用ナンバーとして今も使用されています。上海市では「滬A～滬F」が市街地用、「滬C」が郊外用（高速道路への進入制限あり）、「滬R」が島嶼部用（本土への上陸不可）と、地域ごとに細かく分類されています。重慶市も、市街地や周辺の区県ごとに異なる識別記号が割り当てられています。

省・自治区

直轄市以外の大部分は省と自治区に分類され、それぞれ固有の識別記号が割り当てられています。例えば、河北省は「冀」、河南省は「豫」、遼寧省は「遼」、吉林省は「吉」、黒竜江省は「黒」といった具合です。それぞれの省・自治区内でも、都市部や地方部、特定の機関によって識別記号が細分化されています。多くの省では、主要都市にアルファベット「A」が割り当てられ、以降、他の都市や地域に「B」「C」といったアルファベットが割り当てられています。また、都市部の人口増加などに対応するため、追加の識別記号（例えば「蘇U」など）が発行されるケースもあります。

特殊車両

一般車両以外にも、特殊な車両には専用の識別記号が使用されます。

公安車両

公安車両は、一般車両と同じ地域識別記号を用いる場合と、「O」を用いる場合があります。例えば、「京O+A」は公安部専用、「京O+B」は北京市公安局専用です。

人民武装警察車両

人民武装警察（武警）の車両には「WJ」という識別記号が付与され、その後に管轄地域と部署を示す数字とアルファベットが続きます。例えば、「WJ011」は武警総本部第一部隊を示します。

軍隊車両

軍隊車両には「軍」という識別記号を使用します。中央軍事委員会、各軍種、軍区ごとに異なる識別記号が割り当てられています。例えば、「軍A」は軍事委員会参謀幕僚、「空A」は空軍司令部、「海A」は海軍司令部です。各軍区（北京、瀋陽、蘭州、済南、南京、広州、成都）にも独自の識別記号が割り当てられています。

外交官車両

外交官車両には、在外公館を表す数字が割り当てられます。例えば「101」はイラン、「235」は日本です。

香港・マカオとの違い

香港とマカオは、中国本土とは異なるナンバープレートシステムを採用しています。これらの地域から中国本土へ乗り入れる車両には、広東省発行のナンバープレートが追加され、「ダブルライセンス・カー」と呼ばれます。

まとめ

中華人民共和国のナンバープレート制度は、地域、機関、車両の種類によって多様な識別記号体系が用いられており、その複雑さから、中国の行政区分や組織構造を反映していると言えます。この制度の理解は、中国社会の理解を深める上で役立つでしょう。 本稿では網羅的な説明を心掛けましたが、全ての詳細を網羅しているわけではありませんので、ご注意ください。制度は変更される可能性があります。

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