中華人民共和国国家歴史文化名城

国家歴史文化名城



国家歴史文化名城(こっかれきしぶんかめいじょう)は、中華人民共和国における文化遺産保護のための重要な制度です。1982年に国務院によって制定され、歴史的および文化的な価値が特に高い都市を対象に、その全体を文化遺産として保護することを目的としています。

概要



この制度は、単なる建造物や遺跡の保存にとどまらず、都市全体の歴史的な景観や文化的な特性を維持し、後世に伝えることを目指しています。選定される都市は、過去の重要な出来事の舞台であったり、独特の文化や伝統が息づいていたり、美しい自然環境を有していたりと、さまざまな特徴を持っています。この制度は、北京大学教授の侯仁之、建設部の鄭孝燮、故宮博物院副館長の単士元が文化遺産保護の必要性を趣旨として提案しました。

「名城」という言葉は、日本語の「城(城郭)」ではなく、中国語で都市や町を意味することに注意が必要です。

現在、141の自治体が国家歴史文化名城としてリストされています。指定は1982年、1986年1994年に行われ、その後も数ヶ月に1回の頻度で追加指定が行われています。また、国レベルの指定とは別に、各省政府が独自に指定する歴史文化名城も存在します。

分類



国家歴史文化名城は、その特徴に応じていくつかのタイプに分類されます。

古都型: 首都としての歴史を持ち、古都としての風格を備えた都市(例:北京、西安)。
伝統風貌型: 歴史的に形成された建築群が残る町並みを持つ都市(例:平遥、韓城、開平)。
風景名勝型: 優れた自然環境と景観を持つ都市(例:桂林、蘇州)。
地方民族特色型: 地域的、民族的に独自の文化や特色を持つ都市(例:麗江、ラサ)。
近現代史跡型: 近現代の歴史的な出来事を反映する史跡がある都市(例:マカオ、上海、遵義)。
特殊産業型: 特定の産業において歴史的に重要な役割を果たした都市(例:景徳鎮(陶磁器)、自貢(塩))。
一般史跡型: 都市全体に文化財や史跡が点在し、歴史的な伝統を体現している都市(例:長沙、済南)。

指定履歴



国家歴史文化名城の指定は、以下の通りです。

第一批(第1回指定):1982年2月8日公布、24ヶ所
第二批(第2回指定):1986年12月8日公布、38ヶ所
第三批(第3回指定):1994年1月4日公布、37ヶ所
増補aa:2001年8月10日公布、1ヶ所
増補ab:2001年12月17日公布、1ヶ所
増補ac:2004年10月1日公布、1ヶ所
増補ad:2005年4月14日公布、1ヶ所
増補ae:2007年3月9日公布、1ヶ所
増補af:2007年3月13日公布、1ヶ所
増補ag:2007年3月18日公布、2ヶ所
増補ah:2007年4月27日公布、1ヶ所
増補ai:2007年5月6日公布、1ヶ所
増補aj:2007年9月15日公布、1ヶ所
増補ak:2009年1月2日公布、1ヶ所
増補al:2010年11月9日公布、1ヶ所
増補am:2011年1月24日公布、2ヶ所
増補an:2011年3月12日公布、1ヶ所
増補ao:2011年3月14日公布、1ヶ所
増補ap:2011年5月1日公布、1ヶ所
増補aq:2011年11月2日公布、1ヶ所
増補ar:2012年3月15日公布、1ヶ所
増補as:2012年6月28日公布、1ヶ所
増補at:2013年2月10日公布、1ヶ所
増補au:2013年5月18日公布、1ヶ所
増補av:2013年7月28日公布、1ヶ所
増補aw:2013年11月18日公布、1ヶ所
増補ax:2014年7月14日公布、1ヶ所
増補ay:2014年8月6日公布、1ヶ所
増補az:2015年6月1日公布、1ヶ所
増補ba:2015年8月11日公布、1ヶ所
増補bb:2015年10月3日公布、1ヶ所
増補bc:2016年4月22日公布、1ヶ所
増補bd:2016年11月22日公布、1ヶ所
増補be:2016年12月16日公布、1ヶ所
増補bf:2017年7月16日公布、1ヶ所
増補bg:2017年10月15日公布、1ヶ所
増補bh:2018年5月2日公布、1ヶ所
増補bi:2020年11月29日公布、1ヶ所
増補bj:2021年3月3日公布、1ヶ所
増補bk:2021年6月2日公布、1ヶ所
増補bl:2021年11月7日公布、1ヶ所
増補bm:2022年1月11日公布、1ヶ所
増補bn:2022年3月28日公布、1ヶ所
増補bo:2023年3月5日公布、1ヶ所
増補bp:2023年10月10日公布、1ヶ所
増補bq:2024年12月16日公布、1ヶ所

リスト(一部)



以下は、国家歴史文化名城に指定されている都市の例です。

北京市
上海市
南京市
蘇州市
杭州市
洛陽市
西安市
桂林市
麗江市
ラサ市
他多数

指定都市の詳細は、中国政府の関連機関のウェブサイトなどで確認できます。

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。