中選挙区制

中選挙区制とは

中選挙区制は、日本独自の選挙制度であり、大選挙区制の一形態として位置付けられます。この制度では、各選挙区において一般的に3名から5名が選出されます。有権者は単独で候補者に投票し、得票数順に当選者が決まります。日本では、第二次世界大戦以前および戦後の衆議院選挙で利用されましたが、1994年に政治改革法が成立したことに伴い、小選挙区比例代表並立制が導入され、廃止されました。

中選挙区制の採用と歴史

中選挙区制は、2つの主要な時期に実施されました。最初の時期は1928年から1942年までの間、次の時期は1947年から1993年までの間です。戦前の中選挙区制では、厳格に3から5名の定数が定められていましたが、戦後の期間では議員定数の変動によって2人区や6人区などの例外も存在しました。また、1953年には奄美群島選挙区が一人区として設けられました。

これに対して、戦前の大選挙区制は6名以上の地域で行われ、一方の小選挙区制は一人区の形を取りました。中選挙区制は、こうした制度の進化の結果として登場したものといえます。

中選挙区制の特性

中選挙区制では、選挙区の定数Mに対して有権者が1/(M+1)を超える得票があれば当選することが可能です。このため、一定の少数派も議席を獲得できるチャンスがあります。定数が5以内に抑えられているため、極端な小党が分立する事態も防ぎます。

しかし、政党が過半数を獲得するためには同じ選挙区に複数の候補を立てるため、票が一方に偏ることや共倒れのリスクが存在します。特に大政党に対しては、過剰公認や過少公認のリスクが指摘されており、選挙区内での票の配分を検討する必要があります。また、個々の候補者も背後の支持基盤を強化して政党内の派閥と連携することが求められるため、政治構造に影響を及ぼします。

中選挙区制の導入と廃止

この制度の導入は、第7回選挙から始まりました。この時期には、伊藤博文によって推進された制度があり、1930年代には政治の党勢に大きな影響を与えました。戦後においても、1994年の政治改革を通じて小選挙区制への移行が進められました。

中選挙区制については、政治の集権化や派閥の廃止を求める声が強まり、特に選挙における金権の問題が指摘されました。実際には1993年に新しい選挙制度が導入され、管理された体制の変化が進む一方で、政治改革運動が高まってきました。

一票の格差と定数是正

戦後の中選挙区制では、議員一人あたりの人口の不均一性、一票の格差が問題視されました。これは人口移動に伴うもので、選挙制度の是正が必要とされました。1950年には、新しい公職選挙法が施行され、それに基づく定数の是正は1964年まで行われませんでした。この是正策が従来の制度に適応され、少数派でも議席獲得のチャンスを確保しながらも、全体的な公平さを担保するのが難しいことが影響する要因となりました。

復活論とその背景

近年では、現行の小選挙区制に対する批判が高まり、選挙における大政党の独占的支配が強調されています。過去の選挙の結果からも、比率に対する議席数の不均衡が指摘されており、復活論もある程度の支持を得ています。議員連盟が設立されるなど、様々な提案が進められていることが見受けられます。中選挙区制の復活は、政治のさらなる分権化と、多党制の活性化が期待されている点でも注目されています。

結論

中選挙区制は日本の政治制度の中で重要な役割を果たしてきましたが、小選挙区制への移行に伴い、その位置づけや役割は変化しています。今後も、政治のダイナミズムを反映した選挙制度の在り方が求められる中、各種の制度の検討を進める必要があると言えるでしょう。

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