中間財貿易

中間財の基本概念

中間財とは、国民経済計算において生産過程で利用される原材料やサービスを指し、最終財ではない財とされています。これらは生産に用いられるものであり、投入財とも称されます。国際的な貿易においては、中間財の取引は「中間財貿易」または「投入財貿易」と呼ばれ、経済の重要な部分を形成しています。

中間財貿易の複雑さと特異性

中間財貿易についての統計には、多重計算バイアスが内在しています。生産プロセスが地理的に分散しているため、中間財が国境を越えるごとに、すべてが輸出や輸入に計上されることになります。このような背景から、最終的にその製品のどれだけが輸出国で生産されたか（即ち、付加価値）は判断しにくくなります。国際貿易分類（SITC）においても、中間財と最終財の区別が困難だったものが、改訂版では特定の機械や輸送機械において区別が可能になりました。

生産分担と関連する概念

さらに、国際的な生産分担、つまり生産工程を複数の国で分ける生産分担（フラグメンテーション）は、中間財貿易の一環として重要です。フェーンストラは、生産分担に加え、アウトソーシングや脱局所化など関連する概念も提唱しています。従来、貿易は最終財の取引に限られると考えられてきましたが、1980年代以降、中間財貿易の重要性が認識され、統計的分析や理論研究が進んでいます。

世界貿易における中間財貿易の動向

現在、世界貿易の中で中間財貿易は顕著な成長を遂げています。1995年の統計によると、世界貿易の約三割が中間財によるものであり、その背景には国際的な工程間分業の拡大が主な要因とされています。特に途上国においては、分担生産が重要な役割を果たし、例えばメキシコの製造品輸出の40%は外国で生産された部品を用いています。2009年には、全体の財輸出の51%を中間財が占めるなど、その影響は無視できないものになっています。

東アジアの生産構造

東アジアにおける生産分担構造は長年にわたり顕著であり、三角貿易の形態が見られます。例えば、日本で生産された部品が中国に輸出され、そこで組み立てられた製品が再び日本やアメリカに輸出されるといった流れです。2009年のデータでは、アジア全体での中間財貿易の比率は53%に達し、輸入においてはその比率が64%に上るなど、東アジア内での中間財貿易は特に顕著な結果を示しました。

EUにおける中間財貿易と資本財

EU内でも中間財貿易は著しい増加を見せています。ウィーン国際経済研究所によれば、EU27カ国の輸入の53.7%を中間財が占めており、その国別の比率はギリシャの38.7%からスロバキアの62.3%まで様々です。また、中間財は全輸入の中で大きなシェアを占めており、各産業間でもその比率に大きな差異があります。

付加価値貿易とその重要性

中間財貿易の拡大は、付加価値貿易や国際価値連鎖の観点からも再評価されています。例えば、iPhoneの部品コストに関する調査では、中国製のiPhoneの販売価格において、その付加価値のほとんどがアメリカや日本などの企業から生じていることがわかりました。これにより、中間財貿易の重要性がさらに明らかになっています。

理論的な背景と課題

中間財貿易の理論は十分に発展していないという批判が存在し、1950年代から多くの学者がその必要性を訴えていました。マッケンジーが指摘したように、過去の貿易理論では中間財を考慮していない点が問題視されています。教科書においても、依然として多くは最終財を掘り下げており、実際の経済活動との乖離を生んでいます。

中間財貿易は現代経済において無視できない要素であるため、その理論化と理解の深化が求められています。国際的な生産の細分化やフラグメンテーションは、今後の経済発展において重要な役割を果たし続けることでしょう。

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