丸山断層

丸山断層

丸山断層は、兵庫県神戸市長田区に位置する衝上断層の一種であり、その特異な地質学的特徴から1937年に国の天然記念物に指定されました。この断層は、六甲山塊の北部に属する大断層群の一部として知られており、地球の歴史を物語る貴重な地層を提供しています。

発見の経緯

この断層は1932年、当時京都大学の助教授だった上治寅治郎によって発見されました。規模は256.9平方メートルで、標高の高い周囲と比較して大きな逆断層として目を引くものです。発見された断層は、約1500万年前の地層の上に、さらに古い中生代初期に形成された約1億9000万年前の花崗岩が押し上げられているという特徴を持っています。これは、大阪湾の陥没による大規模な地殻変動によって形成されたと考えられています。

逆断層の重要性

丸山断層の特異性は、他の地域に見られる逆断層とは異なり、低角度の衝上断層であることです。この点が、昭和初期の近畿地方において逆断層の存在が未確認とされていた背景を考えると、非常に重要な意味を持つものでありました。こうした特徴から、国の天然記念物として認められるに至りました。

六甲山成因論への影響

丸山断層が発見されたことにより、六甲山の成り立ちに関する理解が大きく変わりました。当時は地塁説が広く受け入れられていました。この説では、六甲山の高い中央部を挟んで南北に低い土地が広がり、地面が崩れて今の形になったというものでした。しかし、丸山断層の発見はこの説に全く反する新たな考え方を提示しました。

新たな説では、地殻にかかる側方からの圧力によって基盤が隆起し、それが六甲山の形成につながったとされています。この発想の逆転は、まるで天動説から地動説への Paradigm Shift のようなものであり、初めは受け入れがたいものとされました。学界ではこの新たな理論に対する賛否が激しく、特に従来の説を支持する研究者たちとの間で熱烈な議論が繰り広げられました。

結論

丸山断層は、単なる地質的シンボルに留まらず、六甲山の成因に関する重要な鍵を握っています。その発見は、より広範な地質学的理解を深め、地域研究の進展にも寄与しています。今後もこの断層から得られる情報は、地球科学の発展において興味深いデータ源であり続けることでしょう。

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参考文献

• - 『講談社』日本の天然記念物 p.930、p.932 1995年3月20日 第1刷 ISBN 4-06-180589-4

関連項目

• - 衝上断層
• - 神戸丸山衝上断層 - 国指定文化財等データベース（文化庁）.
• - 神戸市：丸山衝上断層
• - Google マップ 丸山断層位置.

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