主婦と生活

戦後日本の女性像を映した雑誌『主婦と生活』：創刊から休刊まで

『主婦と生活』は、1946年5月、株式会社新元社（現・主婦と生活社）によって創刊された日本の月刊婦人雑誌です。戦後間もない時期の創刊ということもあり、日本の女性の生活や社会の変化を長年にわたって記録した重要な資料と言えるでしょう。1993年3月に休刊するまで、実に47年間、日本の女性たちの暮らしに寄り添い続けました。

創刊と初期の取り組み

創刊時の判型はA5判で、創刊号からすぐに人気連載を獲得するなど、順調なスタートを切りました。特に注目すべきは、創刊から間もない時期に実物大型紙を付録として同梱した点です。当時の洋裁ブームを捉えたこの企画は、雑誌の大きな魅力となり、多くの女性読者を引きつけました。さらに、編集部の力量を示すかのように、創刊後すぐに『火の女』の連載を開始、また、複数の「スタイルブック」を刊行するなど、積極的にコンテンツを拡充しました。これらの取り組みが、雑誌の早期の成功に大きく貢献したと考えられます。

雑誌の変遷と発展

1970年1月、創刊25周年を記念して、判型をB5判に変更。同時に大規模な懸賞企画を実施するなど、さらなる発展を目指しました。この頃には、瀬戸内寂聴（当時瀬戸内晴美）の作品や人気漫画の連載など、魅力的なコンテンツが充実し、雑誌としての地位を確固たるものにしていきました。

その後も時代に合わせて変化を続け、1989年には判型をA4変形に変更。競合誌の休刊（『婦人生活』1986年、『婦人倶楽部』1988年）によって市場環境が変化する中でも、着実に読者層を維持し続けました。

休刊とその後

しかし、1993年3月、『社会的な使命を完遂した』という理由で休刊となりました。最終号となる第48巻第4号では、「さようならスペシャル企画」と題し、これまでの歴史を振り返る特集が組まれました。第一部では本誌を飾った著名人を紹介、第二部では戦後の女性史を特集、第三部では歴代の編集長による座談会を掲載、そして第四部では瀬戸内寂聴、曽野綾子ら著名人からのメッセージが掲載されるなど、充実した内容となりました。

『主婦と生活』は、戦後日本の女性の生活や文化を色濃く反映した雑誌でした。その47年間の歴史は、日本の社会変化を理解する上で貴重な資料となるでしょう。休刊後も、国立国会図書館や国立情報学研究所で閲覧可能なアーカイブとして、その歴史的価値は現在もなお高く評価されています。

もう一度検索