主要撮影

主要撮影の概要

主要撮影（しゅようさつえい）とは、映画製作過程において、俳優やスタッフが撮影セットにて実際の撮影を行うフェーズを指します。この段階は、プリプロダクションやポストプロダクションと明確に区別され、映画製作における中核を成しています。主要撮影は、監督や俳優、スタッフへの給与、撮影にかかるコスト（小道具や特殊効果など）など、最も多くの資金が投入されるタイミングであるため、非常に重要です。

撮影の背景と意義

主要撮影は、映画の全体予算の大部分を占めます。撮影が完了するまで、映像は完成品として市場に出回ることがなく、このため「ポイント・オブ・ノーリターン」とも認識されます。撮影の前には通常、フィーチャー映画には保険がかけられます。これは、ドル箱俳優の事故やセットの損傷、フィルムの消失といった不測の事態が発生した場合、その結果として大きな損失が生じる可能性があるためです。また、高品質の映画用カメラを借りるためには、保険に加入していることが必要です。

映画スタッフの役割

主要撮影には、多くの専門職が関与します。監督、俳優、カメラマン、音響担当者、それぞれのアシスタント、そしてプロダクション・マネージャーが重要な役目を果たします。プロダクション・マネージャーは撮影スケジュールの調整や機材の搬送などを管理し、撮影監督とも協力して作業を進めます。撮影時には、スクリプターや進捗状況を記録する人員も含まれ、音響レポートといったドキュメンテーションも作成されます。

撮影準備

撮影は映画スタジオや特定のロケーションで行われますが、場所の選定には美術的な側面と経済的な側面の両方が考慮されます。スタジオでの撮影はスケジュール通りに行いやすい一方で、セット製作には多額の費用がかかります。そのため、近年では、ロケーション撮影が一般的になっています。ただし、ロケーション選定には、土地所有者からの撮影許可を得る必要があります。都市部では使用料が高額になる場合もあります。撮影日には、俳優や必要な機材、撮影シーンに関する詳細が記載された一覧表が用意されます。

撮影本番

撮影の本番に入ると、脚本の最終稿が完成し、すべてのセットが整います。撮影前には、カメラや音響設備の確認が行われます。基本的に主要シーンを撮影するためのメインの撮影班とともに、第2班が独立してエスタブリッシングショットを担当します。撮影期間は、脚本の長さやロケーション数に影響され、一般的には90分の映画で約12〜100日が必要です。

撮影が終了すると「ラップ」と呼ばれ、キャストやスタッフで撮影の成功を祝います。その後はポストプロダクションへ移行しますが、必要に応じて追加撮影や再撮影が行われることもあります。このように、主要撮影は映画製作の根幹をなす重要なプロセスであり、多くの専門職が協力して取り組む大規模な作業です。

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